| 強い山下棋聖 |
| 大矢 | 荒れる天元戦と言われていたが、最近は荒れていない。 |
| 上村 | 挑戦者は強い人が出ています。 |
| 大矢 | 挑戦者決定戦の山下敬吾×河野臨戦は、山下棋聖が第31期から3期連続で負けた河野九段に勝って一矢報いた。 |
| 上村 | 山下棋聖は天元戦に強い。挑戦者になる力はすさまじい。1敗もできないトーナメントはリーグ戦以上に厳しい。 |
| 大矢 | 河野九段は研究して臨んだが、序盤の思いがけない一手で動揺しました。 |
| 上村 | 最後は山下棋聖らしく、大石を殺して勝った。 |
| 上村 | 張栩天元は29歳ですが、山下棋聖は31歳。以前よりタイトル戦がきつくなってきているはず。 |
| 大矢 | 張天元は今期17連勝しています。名人戦で失冠したばかりですが、常に最高ランクでの戦いでこの成績は素晴らしい。 |
| 上村 | たしかにすごい成績ですが、少し調子が落ちた気も。名人戦の負担が大きかったか、他の棋戦を見ても内容が良くない。 |
| 大矢 | 山下棋聖も連勝している。この時期になると調子がいい。 |
| 上村 | 内容的にも悪くない。お互いに逆転力がありますね。張天元はスピード感があるし、形勢判断も良くすきがない。模様を張る山下棋聖とは正反対。 |
| 大矢 | 山下棋聖の棋風はめずらしい。分厚い碁で常に戦う。 |
| 上村 | 戦い続けていく碁。勉強してもまねできない棋風です。 |
| 大矢 | ですが、ヨセが苦手という。持ち時間が3時間になったことが内容に影響してくるでしょう。 |
| 上村 | 読む時間がほしいでしょう。張天元はヨセも研究していて、意識的に早く打っている。短い持ち時間でも集中している。 |
| 時間配分が鍵 |
| 大矢 | 時間がなくなってからの精密さが違う。山下棋聖は時間配分が鍵になる。 |
| 上村 | 山下棋聖は1人で研究するタイプ。 |
| 大矢 | 棋譜を並べる昔ながらの方法で研究していて流行に流されない。対戦成績を見ると低段のころは山下棋聖、高段になると張天元が勝っています。 |
| 上村 | 張天元はうまく戦って、真正面から山下棋聖のパンチを受けていない。天元戦でも足早に展開して、どこで打ち合うか。 |
| 大矢 | 張天元も戦いは得意です。 |
| 上村 | どこかで刺激的な手を打つと相手も戦わざるを得ない。張天元は名人戦の影響があるでしょうか。 |
| 大矢 | 名人戦は2日制、天元戦は1日制ですから、まったく違う碁だという人もいる。しかし影響がないわけはないでしょう。 |
| 上村 | 山下棋聖ももうひとつタイトルがほしい。2冠だとトップ棋士のイメージが強くなる。井山裕太新名人など若手の追い上げもあり、タイトルが一つでは不安です。 |
| 大矢 | 4冠の張天元は疲れもある。 |
| 上村 | 金属疲労のような疲れが、いつ出てもおかしくない。タイトルを持ち続けるつらさがある。調子が悪いから今回はやめるとは言えない。 |
| 大矢 | 名人戦で負けたのはショックでしょうが、切り替えは早い。山下棋聖との対戦成績は良い材料。最近の10局でも良い。 |
| 上村 | どういう立ち上がりになるか。第1局の内容に注目です。 |
| 四天王の核に |
| 上村 | 両者にとってすごく大事なタイトル戦。張天元でさえ、勝って当たり前でなくなった。昔のように10年も20年も第一線に立ってタイトルを持ち続ける時代ではない。若手から井山名人が出てきて、張天元、山下棋聖ら四天王も危機感があるはず。山下棋聖にはここで張天元に勝ち、四天王の核になれるか。 |
| 大矢 | 張天元は王座戦と並行で10番勝負。山下棋聖と山田規三生九段を相手に戦うわけですから正念場です。 |
| 上村 | 最先端の壮絶な碁になるでしょう。 |
| 大矢 | 殴り合いの激しい戦いになるのは必至。見るほうにとって、すごく楽しい。 |
| 上村 | 今までは張天元が勝ちをさらっていった。山下棋聖は今、がんばらないと置いていかれる。状態がいいので、四天王の一番手に名乗りを上げるチャンス。 |
| 大矢 | 対戦成績(張天元の28勝に対し、山下棋聖は17勝)がこれだけ片寄り、3時間の碁は張天元が得意で山下棋聖が苦手と考えると、3―1か3―0で張天元が勝つと予想します。 |
| 上村 | ここ1カ月の内容から3―1で山下棋聖が勝つ気がします。この棋戦に懸けるものがある。タイトル戦は僕ら棋士の夢の舞台。両対局者のうしろには440人のプロ棋士の思いが込められています。素晴らしい戦いを期待します。 |