フクロウ その歴史・文化・生態
(デズモンド・モリス著/伊達淳訳  白水社 2730円)
<略歴>   1928年生まれ。イギリスの著名な動物行動学者。「裸のサル」はじめ邦訳著書多数。画家としても知られる。
本:フクロウ その歴史・文化・生態アイヌの人々の伝承も

 フクロウが好きな人は結構多い、と思う。野鳥好きで、バードウオッチングが趣味の人はもちろん、そうでない人にもフクロウ・グッズのコレクターなど、ファンはいる。実は私も、かつてフクロウものを集めていた時期があったのだが、あまりにもいろいろありすぎてきりがないので、知り合いのコレクターに譲ったことがある。

 本書は、そういった広い範囲のフクロウ・ファンの期待に応えることのできる本であろう。動物としての生態や形態に関する記述のみならず、人との歴史的、文化的関わりについても数多く触れられている。絵画、彫刻などの世界各国のフクロウ・グッズの図版も多い。日本からは、アイヌ工芸の木彫りのキーホルダーと、なつかしや長野オリンピックのマスコットのスノーレッツが登場している。

 著者のデズモンド・モリスの本は、文庫、新書から写真を多用した比較的高価なものまで何冊か持っているが、どの本もはずれが無い。フクロウの動物学の部分は一応私の専門分野であるが、本書も、そういう人間が読んでも面白く、ためになった。文化的な面も、もちろん楽しく読むことができた。何か少し矛盾する書き方であるが、モリスの本は、専門家も十分納得させるような内容でありながら、専門的すぎないところが良い、と思う。

 ところで、本書の中にあるアイヌの人々の言い伝えによると、フクロウ類の中には善人と悪人を見分ける能力を持つものがいるそうである。その鳥を捕まえてみると、善人をみるときは眼を開けていて、悪人をみるときはほとんど眼を閉じてちらとしか見ないそうだ。いままで研究や傷病鳥の救護で、エゾフクロウやコミミズク、オオコノハズクなど何種類かのフクロウを捕まえたことがあるが、何か全部目を閉じられていたような気がする。夜行性のフクロウ類にはまぶしかったり、あるいはもう観念して目を閉じていたと思っていたのだが…。

評・柳川久(帯広畜産大教授・野生動物管理学)

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