くらしの扉

メモ
ICカードと施行規則
などの改正省令



2004/01/11(日)朝刊
健康保険証のカード化*「1世帯」から「1人」に1枚
 
対応まちまち 活用いまいち
「環境未整備」…IC化断念、紙製多数
「お金かかる」…札幌市など、模様眺め
 
 市町村が運営する国民健康保険や、職場の健保組合の保険証を、携行しやすいカードに切り替えるところが増えてきた。一世帯一枚だった保険証を、家族一人ひとりが持てるようにする仕組み。ただ、医療情報などのデータが盛り込める集積回路(IC)や磁気カードではなく、紙やプラスチック製。加入者の多い札幌市などの大都市や民間健保組合など、財政ひっ迫で導入に伴う余計な出費を避けようと模様眺めのところも多く、対応はまちまちだ。(大井一樹)

 保険証のカード化は二○○一年の厚生労働省の省令でスタートした。各世帯に交付される医療保険の被保険者証を、持ち歩くのに便利な縦五・四センチ、横八・六センチのキャッシュカード型に替え、赤ちゃんからお年寄りまで、被保険者(本人)、被扶養者(家族)一人ひとりに交付する。

 当初は情報技術(IT)戦略を推進する政府の肝いりで、患者の医療情報などを電子的に読み取るIC化が検討された。熊本県八代(やつしろ)市などでは実証実験にも着手した。しかし、医療機関などカードを読み取る側の環境整備も必要なことから、この時点でのIC化は断念。実施主体それぞれの工夫で紙やプラスチック製へ切り替えている。
釧路市が全道のトップを切ってカード化した国民健康保険の被保険者証
 道内では、釧路市がトップを切って○一年十一月に、同市の国民健康保険証をカード化した。氏名などを記載した表は紙製、注意事項などを印刷した裏はラミネート処理。約六万人の被保険者の本人と家族を対象に毎年十一月に更新している。切り替えに伴い、印刷機などは購入せず、新たに要した費用は五十万円程度という。

 同市によると、現在ほぼ定着したが、導入当初は再交付などが急増した。「従来の保険証のイメージが抜けず、捨てたり、なくす人が多かった。注意書きの字も小さく、診療記録を書き込めないなど、お年寄りにはやや不評」(杉本義弘国保医療年金課長)と振り返る。

 昨年六月、道が行ったカード化の実施状況調査では、後志管内泊村など九十四市町村が「実施」と回答、「予定」の自治体は九十一に上った。唯一、北広島市だけがICカード化も検討、と回答。道国民健康保険団体連合会などによると、道内の小規模自治体の多くが○五年春までに紙製カードに切り替える見込みだ。

 一方、札幌、小樽、苫小牧、滝川二十二市町村が同調査に対して「(当面の予定)なし」と回答した。このうち、札幌市はカード化の具体計画がまだ、ない。同市の被保険者は五十六万人。「十区すべてに設備するとなると、財政圧迫の要因にもなり、それをどうクリアするか、来年度以降の検討課題になる」(渡辺誠・保健福祉局健康衛生部国民年金課長)と話す。

社会保険庁が春までに全面的に切り替える政管健保の保険証
 ちなみに、医師会などは、IC化への環境が未整備として静観の構え。道外の各政令指定都市も、同じ悩みをかかえ、被保険者が多ければ多いほど、カード化に踏み切れずにいる。

 また、道内十六事業所の健保組合が加盟する健康保険組合連合会道連合会は電力、信金関係の二健保組合がすでにプラスチックカードに切り替えた。コンピューター関連の健保組合も追随の方針。逆に被保険者三万二千人をかかえる農業団体健保組合は「新方式は、さほど利点がない。政府がIC化の本格検討に入る○六年度に合わせて見直しを考えたい」との姿勢だ。公務員共済組合も動きが鈍い。

 政管健保は今春、全面的にプラスチックカードに切り替える。道内の中小約七万事業所、百万人強の被保険者と家族すべてが対象。切り替えが終わる春以降は、旧保険証が使えなくなる。「カードはコンパクトで携帯に便利。無資格受診を減らし、保険料収納の確保のほか、業務の効率化が期待できる。被保険者資格がなくなった時のカードの返還などは事業主に責任があります」(平山誠・道社会保険事務局保険給付指導官)と、これまで以上の管理の徹底を呼びかける。

 ただ、ICカード化の動きが進めば、新たな設備費なども必要になり、住民基本台帳や免許証のカード化と合わせ、個人情報保護の観点からの環境整備について今後、いっそう論議を呼ぶことになる。
 
国民全員に「健康手帳」 厚労省方針 健診情報 蓄積し活用
 母子健診から老人健診まで、国民が生涯に受ける健康診断の情報を蓄積し積極的に活用することで、国民一人ひとりの健康づくりに役立てる施策を進める方針を厚生労働省がこのほど固めた。

 母子手帳のような健康手帳を入学や就職、老年期といったライフステージごとに配布。データを引き継ぐことで、食物アレルギーが原因の給食による事故予防や生活習慣病予防に役立てたい考え。医療費削減にもつなげる。

 健康診断情報の集約を進めるため、厚労省は今年三月末までに検査項目や精度、健康手帳の様式について、健康増進法に基づく指針をまとめる計画。

 健康診断には現在、受診者の年齢などに応じて、母子、学校、職場、住民健診などがある。市町村や学校、企業、健康保険組合が健診機関や病院に委託する形で実施しているが、検査項目や精度、方法はまちまち。

 このため、卒業や転職などの際に情報を引き継げず、蓄積したデータを活用できていないのが現状。健診の事後指導が十分でないため、精密検査が必要でも検査に行かない人が多いと問題も指摘されてきた。

 幼少期からのデータを蓄積した健康手帳があれば、集団の中では正常な検査値でも、その人にとっては危険信号であるデータを早期にチェックできる。アレルギーや特異体質の見逃しによる事故の防止や、公害、職業病など環境に起因する病気の発見にも役立つ。

 将来は健康手帳をICカード化する構想もあり、医師が病気予防のためのプログラムを作成する上で役立ちそうだ。さらにスポーツ施設などで指導員がカード情報を基に健康づくりのための運動メニューを提供するといった利用法も考えられている。

北海道新聞
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