くらしの扉

メモ
パート労働者の雇用実態



2004/01/25(日)朝刊
敬老パス 遠くへ… お年寄りの貴重な足だが
 
有期労働者も安心して子育てしたい!
保育所充実など支援訴え
 
 厚生労働省は、二○○五年度からパートや派遣など期限付きで働く「有期労働者」も一定の条件で、育児・介護休業を取れるよう、育児・介護休業法の改正案を今国会に提出する予定だ。実現すれば、道内で雇用される女性労働者の五割近くを占めるパート労働者たちにも取得への門戸が開かれる。法改正に先行して独自の制度を導入した道内外の企業や団体の取り組みを報告する。(中村康利)
 
育児休業取得後、窓口で仕事を続ける岩堀さん=丸井今井札幌本店
ちばコープで働く佐藤さんは、3回の育休取得経験者。
制度が広がる大切さを実感している
育児・介護休業法の改正案要綱の主なポイント
 道内大手百貨店・丸井今井の契約社員、岩堀志保さん(31)は、五年前から札幌本店のポイントカード「クレオクラブ」の窓口で働き、二○○二年四月−昨年四月の約一年間、当時生まれたばかりの長男のために育児休業を取った。

 「最初は会社を辞めようと思ったが、上司に勧められ、育休を取ることを決めた」と岩堀さん。休業中に担当業務のシステム更新など職場環境が変わり、「復帰してついていけるか不安でしたが、子育てしながら新しい仕事を始めたらもっと大変だったと思う。職場の理解もあり、育休を使って仕事を続けられました」と振り返る。

 同社は一九九四年、女性社員の四割以上を占める契約社員に正社員と同条件の育児・介護休業制度を設けた。昨年一年間で育休を使ったのは正社員十人、契約社員四人。取得期間は子どもが三歳になるまでの最長二年。現行法の一歳、改正案で見込まれる「条件付き一歳半」を上回る。

 同社人事部は「経験に裏打ちされた高い専門能力を持つ社員を確保するため、契約社員も対象にした。売り場など多くの職場で、契約社員と正社員が一緒に働いており、組織運営をスムーズに進める上で条件に差をつけなかった」と話す。

 道外では、生協ちばコープ(千葉市)が先駆的な存在だ。同コープは九一年、正職員とパート職員対象の育児・介護制度を設け、○一年度−○三年度(今年一月現在)で、産休を取ったパート職員十五人のうち、退職した一人を除く全員が育休を取得した。

 同コープ人事統括部は「パート職員は三千百人で、九割を占める女性の多くが主婦。もともと主婦が中心になって設立された組合だけに、家庭と仕事の両立を図る制度には力を入れている」としており、昨年、仕事と育児・介護を両立する優れた制度を持つ企業を対象にした厚労省の「ファミリー・フレンドリー企業」の大臣努力賞に選ばれた。

 同コープ四街道地域センター(四街道市)の配送トラック運転手で、昨年六月まで約九カ月間、育休を利用した佐藤美江子さん(38)は「以前、正社員で働いていた別の会社で育休を二回取り、今回で三回目。子育てが一段落すると働きたくなる女性は多い」と制度をフルに活用し、ハンドルを握り続けている。

 厚労省職業家庭両立課は「今回の改正案には有期の人も対象に加えるほか、小学校就学前の子供のための看護休暇の新設なども盛り込みたい。家庭と仕事を両立できる環境が整うことを期待したい」と狙いを話す。

 ただ現在、道内でどの程度の企業が有期労働者向けの育児・介護休業制度を整備しているか「詳しく分からない」(北海道労働局)というのが実態だ。道や札幌市はこうした制度がなく、女性の正社員への支援策が充実している道内企業も「派遣やパート向けの育児・介護休業はない」と口をそろえる。丸井今井やちばコープ並みの制度を持つ道内企業は決して多くない。

 法改正で育児・介護休業がどの程度、広がるかも不透明だ。ある企業の人事担当者は「人員の補充など、企業の負担は軽くない」と言い、厚労省も「改正後のパート社員たちの取得率がどうなるか分からない」と効果を予測できないでいる。

 育休を取得した丸井今井の岩堀さんは「多くの企業が制度を導入しても、保育所の充実など、育休後の子育て支援態勢が整わなければ、せっかくの制度も利用しづらい」と、幅広い支援策の充実を訴えている。

北海道新聞
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