東北大大学院教授
厚労省がん検診検討会委員
大内憲明さん
に聞く
市町村のがん検診
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2004/02/08(日)朝刊
厚労省04年度から新10か年戦略
乳がん
視触診よりX線検査を
死亡原因の1位を続けるがん。罹患(りかん)率と死亡率の減少を目指し、厚生労働省は2004年度からスタートさせる「第3次対がん10か年総合戦略」の一環として、がん検診に力を入れ始めた。早期に発見し、治療につなげるためには有効な検診の実施と受診率の高さが鍵だ。がん検診をめぐる動きを追った。(村上睦美)
国立がんセンター「がん予防・検診研究センター」には
最新検査機器PETも導入された
二日、東京・築地の国立がんセンターが「がん予防・検診研究センター」を開設した。総工費は四十四億円。内視鏡やコンピューター断層撮影装置(CT)など従来の検査機器に加え、微小ながんも見つけられるという最新検査機器の陽電子放射断層撮影装置(PET)も導入した。
年間六千人の検診を実施し、五年間の追跡調査でデータを集め、遺伝子解析も行う。費用は男性が九万五千円(PET込み十八万円、税別)、女性が十三万円(同二十一万五千円、税別)と高額だが、六月までの初回受診者募集には定員二千人に対し道内も含め三千人の応募があった。
◇ ◆ ◇
先端治療に取り組んできた国立がんセンターが検診事業に乗り出すことについて、森山紀之がん予防・検診研究センター長は「検診の有効性や受診後の生存率、費用対効果などについてデータが不足している。トップレベルの技術と機器で研究し、効果的な検診法や治療の指標をつくりたい」と語る。
国が「総合戦略」で検診など「予防」に力点を置いたのは、第一次(一九八四−九三年)、第二次(九四−○三年)戦略で基礎研究に力を入れ診断・治療技術は進んだものの、死亡者は増え続けているためだ。六○年には約九万四千人だった死亡者は、二〇○二年には約三十万五千人と四十年間で三倍以上に。今は、死亡した人の三人に一人ががんで死んでいる。
厚労省は国立の専門病院による大掛かりな検診事業を始める一方、専門家らによる「がん検診検討会」を設け、昨年十二月から市町村が実施するがん検診の指針の見直しも始めた。検診の有効性をテーマに検討されているのは、死亡者数の増加が著しい乳がんと罹患の若年化が心配されている子宮がんだ。
乳がんについては、同省研究班が○一年にまとめた「がん検診手法の有効性評価」が見直しの根拠となった。この有効性評価は、今の「視触診」が死亡率減少につながらないと指摘し、指針には示されていない四十歳代の乳房エックス線検査(マンモグラフィ)が死亡率減少の効果があるとした。これを受けて検討会はマンモグラフィの四十歳代導入を検討している。
また、子宮がんは、子宮頚(けい)がんの主原因のウイルスが主に性交渉で感染することから、検診を今の三十歳以上から二十歳代に引き下げることが検討されている。
検討会では、受診率の低さも問題になっている。職場と市町村の検診を合わせた全国の受診率は、10−20%台。道内の市町村を見ると、受診率は五つの検診全部が10%台だ。
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市町村の検診は九七年度までは補助金事業だったが、九八年度から一般財源化され、検診の内容や自己負担額などが市町村の裁量に任された。受診者増は財政を圧迫するため、「市町村が前向きに取り組む環境にない」という指摘もある。この点について、道は「早期発見で治療費が抑えられ、将来的には国民健康保険の財政赤字解消につながる」(保健福祉部地域保健課)と説明しているが、一般財源化に伴い網走管内女満別町が肺がん検診をやめるなど、財政への影響から積極的な取り組みができない自治体もあるとみられる。
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