くらしの扉

メモ
ユニバーサルデザイン



2004/02/22(日)朝刊
みんなに優しいまちづくり 独自の条例制定広がる
 
駅や住宅の改修を促進
地域住民の意見も反映
 
 建物や交通関連施設など、生活空間全体のバリアフリー化を目指す「道福祉のまちづくり条例」に沿って、独自の条例で地域の福祉環境を充実させようという自治体が増えてきた。駅や公共施設のエレベーターや車いす対応のトイレ設置など、健常者と高齢者、障害者の壁を取り除くユニバーサルデザインを採り入れたまちづくり。限られた財源の中で、行政だけでなく住民、事業者を巻き込んだ、地域一体の取り組みが増えそうだ。(大井一樹)
美唄市の温泉施設「ピパの湯」で視覚障害の人たちを玄関からカウンターへ誘導する点字設備
温泉施設に工夫
 美唄市東明町にある交流施設兼用の市営温泉「ピパの湯」は昨年十二月に開業した。入浴客は一日六百人の目標を大きく上回り、平均千三百人を超す人気だ。

 施設は、だれもが使いやすいユニバーサルデザインを採用。ふだんは家族風呂として使い、車いす利用者の場合はリフトで入浴できる個室浴室や人工肛門(こうもん)などのオストメイトにも対応する多目的トイレ、全面バリアフリー化した休憩室など、随所に工夫が凝らされている。

 同市のJR函館線の橋上駅・美唄駅も駅構内の二基のエレベーターとは別に、線路をまたぐ陸橋の市道部分にエレベーターを二基取り付けた。設計段階で、道の福祉環境アドバイザーの助言を受け、車いすも自転車も乗れる大きなものにした。

 同市でいま進めているのが、地域福祉計画と併せた市福祉のまちづくり条例の制定。保健福祉施策の充実も盛り込み、新年度からの施行を目指す。板東知文保健福祉部長は「もう健常者、障害者を区別する時代ではない。だれもが快適に暮らせるサービスを考え、役割に応じてお互いに協力し、支え合う社会をつくりたい」と話す。

 石狩市も同じ条例を準備している。公募の市民らでつくる検討委員会で意見を出し合い、議会論議を経て新年度で具体化させる考えだ。同市は一九九八年、花川に市総合保健福祉センターをつくり、聴覚障害者用の電光表示システムなどで道の第一回福祉のまちづくりコンクールの最優秀賞を受賞した。

 「数値目標は道の条例にあるので、あらためて設けないが、等しく生きるノーマライゼーションの理念を重視してバリアフリー化を進めたい」と大林啓二保健福祉部福祉総務課長。
 
「指針」「要綱」も
 道内自治体で「福祉のまちづくり条例」を制定しているのは、道が把握しているだけで五市町ある。うち、建物の整備基準をつくり、事業者に努力義務を課す自治体は札幌、函館、苫小牧の三市。ほか、士別市と網走管内上湧別町も条例化している。

 一方、指針を定めたのは千歳市と空知管内奈井江町。また、旭川、帯広、網走、北広島など七自治体は要綱として対応。十勝管内本別町は、独自に「健康長寿のまちづくり条例」を制定している。

 ユニバーサルデザインの先駆的取り組みで知られる帯広市は、市の住宅設計指針で、新築の場合は五百万円まで無利子融資するが、増改築を含む補助、融資合わせた利用は二○○一年度以降、毎年百件を超える好調さだ。
 
事業者へ道融資
 道は一九九五年に高齢者、障害者の安全に配慮した建築基準法施行条例を改正し、九七年には福祉のまちづくり条例を制定した。さらに、公共的施設など基準に沿う施設を造る事業者への融資制度の「福祉のまちづくり資金」を創設。二〇○三年には交通施設を含む、望ましい整備基準を見直して「生活空間全体のバリアフリー化」をうたい、住民参加による共同の社会づくりを目指している。

 背景には、行政が限られた財源で多様な福祉のニーズに応じ切れないことがある。地元住民や民間非営利団体(NPO)の協力を求めざるを得ないのが実態。このため、道も自治体の条例化を促して地元による、きめ細かな対応を求めていく考えだ。道の福祉環境アドバイザーでもある佐藤克之・道浅井学園大大学院教授も「条例化してあれば、たとえ自治体のトップが交代しても環境整備の継続性を確保できる」と今後の増加を期待している。

北海道新聞
Copyright(c) The Hokkaido Shimbun Press.