こどもの日の五日、札幌(さっぽろ)市東(ひがし)区のモエレ沼公園・ガラスのピラミッドで「ふしぎヒコーキ・ワークショップ」が開かれました。約百二十人の大人と子どもが、いろいろな形の飛行機(ひこうき)を作ったり、飛(と)ばしたりしました。見ているだけで、体も心も軽くなったようです。《古家昌伸(こいえまさのぶ)》

つりざおであやつる「糸コン飛行機」はこんなに高いところまで飛ぶ
操縦はつりざおで! 風に乗り?「エンゼル」ふわふわ

 ワークショップというのは、先生といっしょに何かを作ったり体を動かしたりする講座(こうざ)です。市民グループのモエレ・ファン・クラブが主さいした今回のワークショップでは、根室管内中標津(ねむろかんないなかしべつ)町の飯島実(いいじまみのる)さん(56)が先生でした。

 はじめに飯島さんが、何種類(しゅるい)もの飛行機を飛ばして見せてくれました。白い大きな羽を持つ鳥のような飛行機、「ラジコン(無線操縦(むせんそうじゅう))」ではなく、つりざおにつけた糸で操縦する「糸コン」飛行機、飛行機とは思えない形のものなど。みんな「早く作りたい」とワクワクするのがわかりました。

ゴムの力で飛ばす「ラワン」。どこまで上がるか緊張(きんちょう)
 飯島さんが「まずやってみましょう」と取り出したのは、とてもうすく軽い発泡(はっぽう)スチロールの帯(おび)。折(お)り目をつけたりして、そっと落とすだけで、くるくる回ったり、左右にふらふらゆれたりする面白い動きが見られました。

 いよいよ自分で作るコーナー。飯島さんの飛行機の多くは、ジェット機(き)のようにするどくではなく、ゆったり飛びます。折り紙で作った「カモメ」は静(しず)かに空をすべるように、うすい発泡スチロールの羽を折って先っぽにマッチ棒(ぼう)をさした「エンゼル・ウイングス(天使の羽)」という飛行機は、風に乗ってふわふわとただようような飛び方です。

 あいの里東(さとひがし)小(北(きた)区)二年の三浦修(みうらしゅう)君(7つ)は、この「エンゼル」が大好きです。「ふわふわ浮かんでいるみたい」。平岡公園(ひらおかこうえん)小(清田(きよた)区)四年の佐々木萌(ささきもえ)さん(9つ)は、工夫(くふう)してマッチ棒の代わりに輪(わ)ゴムをつけてみました。飯島さんは「それはぼくも作ったことがないな。よく考えたね」とにっこり。

 最後(さいご)に、ガラスのかべに囲(かこ)まれたピラミッドのアトリウムに全員が集まって、いっせいに飛行機を飛ばしました。ふしぎヒコーキが頭の上を飛びかう様子は、おとぎ話の世界のよう。子どもたちだけでなく、お父さんやお母さんも目をキラキラかがやかせていました。


先生の飯島さんからコツ 丸み帯びた折り目に

ふしぎヒコーキがよく飛ぶ理由を熱心(ねっしん)に話す飯島さん
 ワークショップで先生となった飯島実(いいじまみのる)さんは、本物の飛行機(ひこうき)を安全に飛(と)ばすための仕事をしていました。中標津(なかしべつ)空港で所長(東京航空(とうきょうこうくう)局中標津空港出張所(しゅっちょうじょ)長)をつとめた経験(けいけん)もあり、仕事をやめてから三年前に家族で中標津に引っこしました。中標津には「広い室内に静(しず)かな空気がある、紙飛行機にピッタリの体育館があるのがいい」と言います。

 飯島さんは、道立根釧(どうりつこんせん)農業試験場(しけんじょう)だった古い建物(たてもの)「伝成館(でんせいかん)」をまちづくりのきょ点として運営しながら、ふしぎヒコーキ(ワンダー・プレーン)の指導(しどう)者として全国を飛び回っています。「紙飛行機は前から好きで、最初(さいしょ)は速く、遠くまで飛ぶ飛行機を工夫して作るのが面白かったのです。二十年ほど前に世界大会に入賞したのがきっかけで、作り方を教える機会(きかい)も増(ふ)えてきていました」

 同じころ、東南アジアの植物の大きな種(たね)が、単純(たんじゅん)な形なのにふわふわと遠くまで飛ぶのを見ておどろきました。「木の種を観察(かんさつ)すると、どれも無理に空を飛んでいない。風に身をまかせるようにしてただようのが自然(しぜん)なのです」

 あつめの発泡(はっぽう)スチロールの帯(おび)を二枚(まい)、ななめにずらして張(は)り合わせた飛行機も、ラワンという南国の木の実ににています。輪(わ)ゴムで真上に飛ばすと、高速回転しながらゆっくり落ちてきます。

 飯島さんの飛行機がふわふわと飛ぶ秘密(ひみつ)は、発泡スチロールなど、鳥の羽のようにうすくて軽い材料(ざいりょう)を使っているから。紙の場合は、折り方も大事です。机(つくえ)の上できっちり折り目をつけるのではなく、手に持ったまま折り目をやさしく引っ張るようにして、丸みを帯びた線にします。強く折ってしまうと飛び方がするどくなり、紙も弱くなります。「決してツメでしごかないで」と何度も注意がありました。


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