空知管内栗山町(そらちかんないくりやまちょう)で四月十四、十五の両日(りょうじつ)、「くりやま老舗(しにせ)まつり」が開(ひら)かれました。栗山町(くりやまちょう)で古(ふる)くから商売(しょうばい)をしている小林酒造(こばやししゅぞう)と谷田製菓(たにだせいか)が協力(きょうりょく)し、お酒(さけ)をつくる酒蔵(さかぐら)やお菓子(かし)の工場(こうじょう)を見学(けんがく)できたり、両社(りょうしゃ)の商品(しょうひん)を無料(むりょう)で味(あじ)わえるイベントで、計(けい)一万六千人(にん)が参加(さんか)しました。お祭(まつ)りにちなみ、「日本一(にっぽんいち)のきびだんご」で有名(ゆうめい)な谷田製菓(たにだせいか)の工場(こうじょう)を見(み)てきました。《町田誠(まちだまこと)》
石うすでなめらかに 紙で包むのも手作業
| 大勢(おおぜい)が訪(おとず)れた「老舗(しにせ)まつり」。おみやげのきびだんごも配(くば)られました |
|
谷田製菓(たにだせいか)は一九一三年(大正(たいしょう)二年)に始(はじ)まり、九十四年の歴史(れきし)があります。「きびだんご」は二三年(大正(たいしょう)十二年)から作(つく)っていて、谷田進太郎社長(たにだしんたろうしゃちょう)(53)によると、社長(しゃちょう)の祖父(そふ)で創業者(そうぎょうしゃ)の故(こ)・可思三氏(かしぞうし)が考(かんが)え出(だ)しました。「桃太郎(ももたろう)」で有名(ゆうめい)な岡山県(おかやまけん)のきびだんごとは、形(かたち)も作(つく)り方(かた)もちがう独自(どくじ)のものです。
きびだんごを作(つく)ったのと同(おな)じ年(とし)に起(お)きた関東大震災(かんとうだいしんさい)からの回復(かいふく)を願(ねが)い、さらに北海道開拓(ほっかいどうかいたく)の時(とき)のみんなで助(たす)け合(あ)う気持(きも)ちをこめて、「起備団合(きびだんごう)」(起(お)きることに備(そな)え、みんなで力(ちから)を合(あ)わせる)と名(な)づけたそうです。
きびだんごの材料(ざいりょう)は、道内産(どうないさん)のもち米(ごめ)とトラ豆(まめ)と砂糖(さとう)、愛知県(あいちけん)で作(つく)られた水(みず)あめで、着色料(ちゃくしょくりょう)や保存料(ほぞんりょう)などは使(つか)っていないそうです。
| もち米(ごめ)とあん、水(みず)あめを大(おお)がまに入(い)れて機械(きかい)でまぜ、団子(だんご)のもとを作(つく)ります |
|
きびだんごをつくって十五年になる照井薫工場長(てるいかおるこうじょうちょう)(53)が、工場(こうじょう)を案内(あんない)してくれました。工場(こうじょう)の中(なか)はお米(こめ)がたきあがったにおいと、あまいかおりに包(つつ)まれていて、約(やく)二十人(にん)が働(はたら)いています。えいせいに気(き)をつけて、みんな白衣(はくい)とキャップ、マスクを身(み)に着(つ)けていました。
最初(さいしょ)に、もち米(ごめ)をとぎ、一晩(ひとばん)水(みず)につけておきます。朝(あさ)になったら、昔(むかし)ながらの石(いし)うすで細(こま)かくすりつぶします。機械(きかい)ですりつぶすと熱(ねつ)が出(で)て、なめらかにならないそうです。すりつぶしたもち米(ごめ)は蒸気(じょうき)で温(あたた)め、のりのような状態(じょうたい)にして冷(さ)まします。
豆(まめ)は一晩(ひとばん)水(みず)につけて蒸気(じょうき)でたき、皮(かわ)やあくを取(と)り除(のぞ)きます。水(みず)あめといっしょに大(おお)きなかまに入(い)れ、温(あたた)めながら機械(きかい)で四、五時間(じかん)まぜ、あんをつくります。まぜるうちに、クリーム色(いろ)の豆(まめ)が、黒(くろ)っぽくなります。
もち米(ごめ)と砂糖(さとう)、あんを別(べつ)の大(おお)がまに入(い)れ、さらに水(みず)あめを足(た)して機械(きかい)で四時間(じかん)ほどかきまぜ、茶色(ちゃいろ)っぽい団子(だんご)を作(つく)ります。まぜ終(お)わったら大(おお)がまから団子(だんご)を取(と)り出(だ)しますが、このとき手作業(てさぎょう)ですくいあげるのが特(とく)ちょう。
| 冷(さ)ました団子(だんご)は商品(しょうひん)ごとの大(おお)きさに切(き)ります |
|
すくいあげた団子(だんご)は、くっつかないよう粉(こな)をまぶします。長方形(ちょうほうけい)の入(い)れ物(もの)に流(なが)し込(こ)んで板状(いたじょう)にし、気温(きおん)一五度(ど)ほどの部屋(へや)に移(うつ)して一時間(じかん)ほど冷(さ)まします。それぞれの商品(しょうひん)の大(おお)きさに切(き)り、オブラートにくるんでほうそうすれば、できあがり。「一本物(いっぽんもの)」と呼ばれる長方形(ちょうほうけい)の商品(しょうひん)(七十グラム、百五円(えん))は、手作業(てさぎょう)で一つ一つ包(つつ)みます。昔(むかし)は包(つつ)む係(かかり)が二百人(にん)くらいいたんだって。
きびだんごを食(た)べてみました。舌(した)ざわりはなめらかで、やさしいあまさ。「エアコンがない時代(じだい)は工場(こうじょう)の中(なか)がとても暑(あつ)く、たいへんでした。かたくはなりますが、通常(つうじょう)の状態(じょうたい)で一年以上(いじょう)、もちますよ」と照井工場長(てるいこうじょうちょう)。谷田社長(たにだしゃちょう)は「すべて自然(しぜん)の材料(ざいりょう)を使(つか)っているので、安心(あんしん)して食(た)べられます。長持(ながも)ちするので、昔(むかし)は炭鉱(たんこう)で働(はたら)く人(ひと)がポケットに入(い)れて、おなかがすいた時(とき)に食(た)べていたんです」と話(はな)してくれました。
きびだんごは道内(どうない)の主(おも)なスーパーでも売(う)っています。かたくなったら電子(でんし)レンジなどで数秒(すうびょう)温(あたた)めるといいそうです。
| 一本物(いっぽんもの)のきびだんご。ふくろにくっつかないようオブラートに包(つつ)まれています |
|
◇
まつりの来場者(らいじょうしゃ)が、工場(こうじょう)をガラスごしに見学(けんがく)しました。えいせいの問題(もんだい)が起(お)きる可能性(かのうせい)があるからです。家族(かぞく)と来(き)た札幌市東区(さっぽろしひがしく)の伊藤一真君(いとうかずまくん)(小(しょう)六)は「お菓子(かし)を手作業(てさぎょう)で包(つつ)んでいて、おどろいた」。同区(どうく)の神谷舞優(かみやまゆ)さん(小(しょう)五)は「作(つく)っていく順番(じゅんばん)を見(み)られて、面白(おもしろ)かった」と話(はな)していました。 |