みなさんは盲導犬を知っていますか? 目の不自由な人たちの道案内をしてくれる犬のことで、今、道内では七十匹が活躍しています。私は昨年春から札幌にある北海道盲導犬協会の職員となり、盲導犬を育てる訓練士を目指して研修を続けています。
盲導犬には、いろいろな仕事があるんですよ。まず、まっすぐに歩くこと。簡単なようだけど、これが犬にとっては難しいんです。それから、交差点で止まること。障害物をよけること。目的となるものを見つけて、そこまで主人を連れて行くこと。もし主人の命令がまちがっていて、赤信号なのに道をわたろうとしたときなどは、命令にそむいて主人の安全を守ります。とてもかしこい犬たちです。
でも、犬が何もかもやってくれるわけではありません。実際には「ユーザー」と呼ばれる主人がきちんと指示を出し、それに従って盲導犬が仕事をします。ユーザーさんと犬との共同作業という感じですね。私も以前は、盲導犬は頭のいいスーパードッグみたいに思っていましたが、訓練にかかわってみて、それはちがうなと気がつきました。
私は小さいころから動物が好きで、盲導犬についても本やテレビで見て知っていましたが、訓練士になろうと思っていたわけではありません。大学では福祉のことを学びたいと思い、函館の高校から仙台の東北福祉大に進んで、障害を持つ人と接するボランティアもしました。就職するときに、自分が本当にやりたい仕事は何だろうと考えて、ずっと気になっていた盲導犬のことを思い出しました。
実は、ある病院の就職試験を受けに札幌に来たんです。そのとき、たまたま、北海道盲導犬協会が訓練士を募集していることを知りました。こんなチャンスはない。ちょうどその日が申し込みの最終日でした。リポートを書いて出さないといけなかったので、病院の試験の会場で書きました。まわりの人からは変な目で見られましたが、時間がないので、地下鉄の中でも書き続けて、なんとか間に合わせることができました。
いろいろな偶然にもめぐまれて、今、こうして盲導犬を育てる仕事ができる。自分は幸運だなと思います。 |