さあ、よく見ていてください。ここにあったはずのコインが、おや不思議、消えてしまいました!
みなさんは、こんなマジックのステージを見たことがありますか? 帽子から花やハトが飛び出したり、トランプのカードを使うマジックもあるよね。私は、マジックを見せるプロのマジシャンです。ふだんは遊園地などでショーをしたり、東京の演芸場に出演しています。テレビに出たり、外国でショーをすることもあるよ。先月はオランダで開かれたマジックの国際会議に日本の代表として参加してきました。
マジックや手品って、簡単そうに見えるでしょ。でもね、実際は、意外に大変です。ショーをするとき、よくびっくりされるのが道具の多さ。ステージではハンカチをかぶせていろいろな物をパッと消してしまうけど、消したものをしまっておく道具がいる。パッと出すための道具もいる。見た目は何もないようでも、かげにはたくさんの道具が必要なんです。
私は、「プロ」というのは相手を楽しませなくてはいけないと思っています。ショーを見て、不思議だなというだけじゃなく、楽しかったな、おもしろかったなと思ってもらうこと。そのためには、どう見せたらお客さんを感動させられるか。いかに楽しませるか。それを考えながら、見えないところで地道な練習や仕こみが欠かせません。
では、不器用な人はマジックはできないか。いいえ、そんなことはありません。確かに、手先が器用な人は覚えるのが早くて、すぐできるようになる。でもそれは、忘れるのも早いということなんです。不器用な人は、できるようになるまで時間がかかる。その代わり、くり返しくり返し練習したことは指先が覚えている。「体で覚えたことは忘れない」と言います。練習にまさる天才はありません。
私は、高校時代に演劇やマジックに熱中し、その後、マジックのプロになりました。でも、実は、子供のころは引っこみ思案で、人前で何かをするのは苦手だったんです。その私がどうして変わったのか、それは次回にお話しましょう。 |