みなさんは「世界遺産」という言葉を知っていますか。すごく大切な自然環境や文化財を登録し、世界中の人が協力して次の世代に残していく活動のことです。
北海道の東の端、オホーツク海に向かって突き出している国立公園の知床が「世界自然遺産」に推薦されることになりました。
自然環境に優劣はありませんが、知床は日本にとって大事な国立公園であるばかりではなく、これからは世界のかけがえのない場所・財産として守っていかなければならないのです。
知床は網走管内斜里町と根室管内羅臼町にまたがっており、私は斜里町立知床博物館の館長をしています。博物館では知床半島の自然や斜里の歴史の調査をしたり、集めた資料の展示をしたりしています。
知床の素晴らしいところは、海にも陸にも自然本来の姿が残っていること。昔からの生き物がそろっていて、人の影響を受けずに生き物同士の関係を保っています。
生物の世界が、食べるものと食べられるものの関係で成り立っていることを「食物連鎖」と言います。みなさんには、この食物連鎖の大切さを知ってほしいと思います。
知床は流氷が来て海が凍る南限です。海はプランクトンが豊富で魚もたくさんおり、それを求めてさまざまな動物が集まり、海の生物の頂点にアザラシやトドがいます。
海の資源とともに陸の自然も豊かで、サケやマスが川を上り、それを大型動物のヒグマやオオワシ、オジロワシ、シマフクロウなどが食べて生きる。日本ではほかに見られない知床の原始的な自然環境は、多様な野生生物が支えているのです。
私が斜里町で暮らし始めてから二十五年になります。生まれたのは札幌市ですが、子どものころに比べて、札幌もずいぶん変わりました。でも、自然を身近に感じられる場所はまだたくさんあります。
小中学生のみなさんは、自分の身の回りの自然に目を向けてほしい。もっと自然と接することで、得られるものが大きいと思っています。
「何かおもしろいものはないかな」と、みんなはいつだって探しているでしょう。子どもたちはもともと好奇心が強いし、ひまな時間もあるはずです。身近な植物や動物、鳥の不思議さやおもしろさをいろいろと感じたうえで、大きな動物たちが見られる知床を訪ねてみてほしい、と望んでいます。 |