みんながテレビなどで見ているアニメ「ドラえもん」に、ドラえもんの声で出演しています。あの声にいつから変わったのか、と思う人がいるかもしれないけど、実は私の声は生まれつきなんです。
子どものころは四世代が一緒に住み、私は十三人家族の十三番目。兄は十一さいも年が上だったので、子どもは私一人でした。家族の最年長は、江戸時代に生まれた、ひいおじいさんとひいおばあさん。家族の会話があふれている家で育ちました。
幼ち園の入園式のとき、「大山のぶ代ちゃん」と呼ばれたので、「はい!」と大きな声で返事をしたら、後ろの方がざわついたんです。「あら、おじょうちゃんね。お気の毒に」と言ったんですって。私の母は「やっぱり、この子の声はおかしい」と思い、いろんな病院に行きました。
でも、悪いところはない。むしろ、お医者さんに「じょうぶな声帯をお持ちの元気なおじょうさんです」と言われました。小学校時代に歌を歌うとき、先生から一番先に声をかけられて、得意になって歌いました。自分の声が悪いなんて思わなかったです。
それが、中学生になったら「おまえの声は、どこから出ているんだ」などと言われました。「大山のぶ代が声を出したら、みんなで笑おう」なんていう変な遊びもはやってしまって…。つらかったですが、早く終わればいいと思って学校に行きました。
そうしたら、母から「このごろ、物静かだけど」と言われ、学校でのことを話すと、「悪いところをかばっていたら、ますますだめになる。声を出すようなクラブ活動に入りなさい」と。お母さんの言う通りだと思い、次の日に放送研究部に入りました。
最初は「マイクで校内に流すような声でない」と、クラスの人に言われましたが、マイクの前で毎日話すうちに、気づいたら笑う人はいませんでした。
結局、自分はおかしくもないのに、だれかがいたずら半分にやったことに、みんなが加わって笑っていたんですね。これは、ひきょうな人のやることよ、といつも子どもたちに話をしています。他人の様子を見ながら笑ったりするのは、自分の心がないんだよ、とよく言うんです。 |