もっと知りたい どうなる南極観測

Q 万一中断すれば
A 国際的にも大きな打撃

 国立極地研究所などによると、観測中断の影響は大きく三つに分けられる。

 第一は、観測の中断によって、南極での地球温暖化の現在の進行状況などが分からなくなり、過去のデータの価値まで失われてしまうこと。地球環境の「健康診断」は継続的な観測が前提で、「八二年に発見したオゾンホールも、六六年以来オゾン層観測を継続してきたからこそ」という。

 第二は、科学の発展にブレーキがかかることだ。観測隊のいん石採集をきっかけに、日本でも「惑星物質科学」という新たな科学の分野が生まれた。未知の科学領域が広がる南極観測の中断は、こうした科学の発展から取り残されるとの懸念も少なくない。

 中断が及ぼす影響の三つ目は、南極観測の国際協力体制からの脱落が日本の発言力低下に直結しかねないということ。

 南極では現在、十八カ国が三十七基地を設けて観測しているが、仮に日本が中断すれば昭和基地の周辺に観測の空白地帯が生まれ、国際的な観測網にダメージが生じる。地球温暖化防止などの見地から他の国々が研究観測を強化する中、「日本が中断に踏み切れば、地球環境への姿勢そのものが疑われる」との指摘もある。

 国境も軍事基地もない南極は南極条約によって領土権の主張が凍結されてきた。条約署名国の中には、南極に埋蔵される天然資源への思惑などから領土権を主張する国も多い。観測の中断は、領土権を主張せず、他国の領土権の主張を認めない日本の発言力低下にもつながりかねない。


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北海道新聞
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