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中国の軍事力


 アジアの大国として国際社会での地位を着々と固めつつある中国。急速な経済発展と歩調を合わせるように、軍事分野の増強も著しい。装備のハイテク対応など近代化を進め、国防費は毎年10%以上の高い伸びを維持している。日米などの警戒感が強まっている中国の軍事力の現状についてまとめた。


国防費伸びは この5年間で2倍に

 中国は二○○五年度の国防費当初予算に二千四百四十七億元(約三兆千八百十一億円)を計上。当初予算比で十七年連続して10%以上の伸びとなった。一九九七年度の三倍、二○○○年度の二倍に相当し、軍事力の拡大が続く現状を如実に示している。

 こうした国防費の伸びへの諸外国からの警戒に対し、中国は「西側の一部大国より少なく、国内総生産と国家財政支出に占める割合も相対的に低い」(中国版防衛白書「二○○四年の中国の国防」)と強調。○三年の中国の国防費は、米国の5・69%、日本の56・78%、英国の37・07%にすぎないと主張している。

 しかし、中国は国防費の詳細な内訳については公表していない上、装備の調達費や研究開発費は公表額に含まれていないとの見方が一般的だ。米国防総省「中国の軍事力の年次報告書」では、実際の国防費は公表額の二、三倍に上ると見積もっている。

 今年六月にシンガポールで開かれた「アジア安全保障会議」で、ラムズフェルド米国防長官は基調講演で「中国の国防予算は世界第三位、アジアでは最大だ」と指摘。日中間で定期的に開かれている防衛事務次官級協議でも、日本側が中国に対し国防費の透明化を求めるなど、拡大を続ける中国の軍事力に対し他国の懸念は広がっている。

近代化 軍主導で宇宙開発 ロから新型潜水艦

 防衛庁の防衛白書などによると、中国は一九五○年代から核兵器の独自開発を続け、核運搬手段としては、中距離爆撃機約百六十機、大陸間弾道ミサイル約三十基、中距離弾道ミサイル約百十基を保有。潜水艦発射弾道ミサイルや新型弾道ミサイルの開発にも取り組んでいる。

 一昨年十月、打ち上げに成功した中国初の有人宇宙飛行船「神舟」プロジェクトも軍が主導的役割を担っており、軍事面への応用を進めているのは確実とみられる。

 陸上戦力に関しては、兵力規模は百六十万人で世界最大。組織の近代化、合理化に伴う再編成を進めている。

 海上戦力は、潜水艦約七十隻を含む艦艇約七百五十隻(約九十三万九千トン)を保有。スクリュー音などが小さく相手国に捕捉されにくい新型潜水艦をロシアから買い入れている。

 航空戦力は、空軍、海軍合わせ、作戦機約二千三百九十機を保有。新型国産戦闘機の開発に取り組んでいるほか、ロシア製戦闘機の導入やライセンス生産を行うなど、近代化を図っている。

狙い 台湾問題を最重視 背後の米に対抗も

 「二○○四年の中国の国防」によると、国防政策の基本目標として中国は、《1》分裂阻止と統一促進《2》侵略への防御と抵抗《3》国家主権、領土保全、海洋権益の防衛−を掲げている。

 最重視しているのは台湾問題で、今年三月、日本の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)で台湾の独立阻止を狙った「反国家分裂法」を制定。台湾の独立の動きに対して「非平和的方法による措置」を行使できると規定し、武力行使に法的根拠を与えた。

 また、日米安全保障協議委員会(2プラス2)が今年二月、日米の「共通戦略目標」に台湾問題を明記したことに対し、中国は激しい反発を見せたが、これも対台湾政策重視の表れといえる。米国防総省「年次報告書」によると、台湾海峡に面する福建省などで台湾に向けて配備されているミサイルは六百五十−七百三十基とされ、台湾および背後に控える米国の軍事力への対抗意識を示している。

メ モ

 中国の軍事力を支える人民解放軍は1927年8月1日に創立。「党が鉄砲を支配する」という原則のもと、中国共産党の軍隊としての性格を持つ。

 人民解放軍の最高指導機関は中央軍事委員会。党、国家の2つの委員会があるが、構成メンバーは同じで実質的には同一の組織。そのトップは現在、胡錦濤・党総書記(国家主席)が務める。「銃口から政権が生まれる」(故毛沢東主席)の言葉に象徴されるように、軍部掌握が政権安定の前提となっている。

 海軍艦艇による日本の排他的経済水域(EEZ)での海洋調査活動や、原潜領海侵犯事件など、日本にとっての懸念材料も近年、増えている。