「一箱五百円ぐらいにしてもいいのではないか」。昨年十二月下旬、与党税制調査会の幹部らに語った小泉純一郎首相の発言は、外国のたばこ価格を念頭にしたものだ。確かに日本のたばこの価格は先進国の中では低水準にある=別表=。
一箱千円の大台も間近なイギリスをはじめ、欧州が高い。イギリス、フランス、ドイツでは税金が販売価格の八割を超える。米国では州ごとに税率が異なり、嫌煙権に対する意識やたばこ生産地を抱えるなどの事情により倍以上の格差があるが、小売価格は日本と比べると高水準だ。
一方、税抜き価格が日本とほとんど変わらないロシアの税率は約一割。販売価格も一箱当たり日本より百円以上安い。喫煙率は男性65%、女性25%(ロシアの医療専門紙)でいずれも日本のほぼ倍、女性も若年層に限れば50%を超えるとの見方もある。たばこ広告を規制する法律を策定する動きもある。
今回のたばこ税値上げに「誠に遺憾」とコメントを発表した日本たばこ産業(JT)は「たばこの値段は各国の経済・財政状況など多様な要素で決まるため、価格を単純に比較するのは意味がない」(IR広報部)としているが、各国の動向に神経をとがらしている。 |