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高レベル放射性廃棄物最終処分場


 北電泊原発(後志管内泊村)など国内の原発の使用済み核燃料を、再処理して出る高レベル放射性廃棄物。この最終処分場問題が注目を集めている。高知県東洋町が一月、全国で初めて処分場設置に向けた調査候補地に名乗りを上げたからだ。町民や町議会、周辺自治体が猛反発する中、処分場建設を担当する原子力発電環境整備機構(原環機構、東京)は、経済産業省に調査実施認可を申請した。核のごみ捨て場をめぐる課題と現状をまとめた。(大倉玄嗣)


核のごみ どう処理 ガラス固化し地下埋設

 容器千四十体、ウランにして約四百十六トン。泊原発がこれまで排出した使用済み核燃料の総量だ。一部が仏、英の再処理工場、青森県六ケ所村の日本原燃の施設(再処理工場建設中)へ送られ、七百九十三体は泊原発敷地内に保管されている。

 使用済み核燃料は再処理工場でプルトニウムやウランを取り出した後、ガラス固化体に加工、六ケ所村の施設で三十−五十年間、熱を冷ます。日本で高レベル放射性廃棄物と呼ぶのは、このガラス固化体だ。国内ですでに二万本相当の使用済み核燃料が発生、二○二○年には四万本に達する。

 国はこの四万本を三〇〇メートル以深の地下に埋める「地層処分」を計画。しかし、処分場の場所は未定、処分技術も研究開発中。原発批判派から「原発はトイレのないマンション」と言われる。

 地層処分技術の研究開発は、留萌管内幌延町の日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターなど二カ所で行っている。同町はかつて高レベル放射性廃棄物中間貯蔵施設を誘致したが、反対の声が強く、最終的に「核廃棄物を持ち込まない」との条件で同センターが建設された。

名乗り上げた高知県東洋町 目当ては交付金 町内外から反発

 原環機構は○二年、最終処分場設置調査の候補地公募を開始。国も調査に応じた市町村に交付金を出す制度を設けた。複数の自治体が応募を検討したが、内外の反対で立ち消えに。そこで国は新年度から第一段階の調査である「文献調査」の交付金を現行の約五倍の年十億円に引き上げた。

 年間予算規模二十億円の東洋町。町財政は国の三位一体改革などで破たん寸前で、田嶋裕起町長は「交付金による財源確保」を明言する。

 だが、応募に町内や周辺自治体の同意がなかった。町議会は「町長の独断」として応募反対決議と町長の辞職勧告決議を可決。高知、徳島両県、周辺市町村も首長、議会が応募反対を表明した。

 国や同機構にとって田嶋町長の「独断」は渡りに船。同機構は「応募書は町長印があり書式は整っている」と二月二十八日、調査実施を経産省に申請した。脱原発を目指すNPO法人「原子力資料情報室」(東京)の西尾漠共同代表は「市町村を金で釣る国の手法が混乱を招いた。東洋町の事態をみれば今後、手を挙げる市町村は出にくい。国も公金である交付金を投じる以上、『何とか東洋町で』との動きになるのでは」とみる。

安全性は 「技術的問題少ない」「地震多いため危険」

 原発が稼働する以上、核のごみの処分が必要。最終処分法は「宇宙に捨てる」「海底投棄」など検討されたが、いずれも課題が解決できず「地層処分しかない」との結論になった。だが、その地層処分も専門家の意見は分かれる。東洋町で二月二十七日に開かれた講演会で、地層処分について専門家の意見を聞いた。

 地層処分の専門家の佐藤正知・北大教授は「私たちの世代が出した廃棄物の処理を、後の世代に負担させてはいけない。地層処分は技術的にも最も問題が少ない処分法だ」と肯定。これに対し、小出裕章・京都大原子炉実験所助手は「地震多発帯の日本で地層処分は危険。人間の手が届く場所で監視すべきで、恒久的な管理が困難というなら原発をやめるしかない」と強調した。

 処分法自体で専門家の意見が対立する現実。それが町民の不安に一層拍車を掛けている。

 同町内には「調査の交付金をもらった後、建設の是非を住民投票で決めればいい」という町長支持派もいる。だが、反対派は「今止めなければ、交付金漬けにされて国の言いなりになる」と危機感を募らせ、核廃棄物持ち込み禁止の町条例制定を請求。町長リコールも視野に入れた運動を展開中で、候補地選定の先行きは不透明だ。

メ モ

 ガラス固化体は直径40センチ、高さ1・3メートル、重さ500キロの筒状で、製造直後は表面に触れると20秒弱で致死量の放射線を浴びる。放射能がウラン鉱石と同レベルに減少するのに数万年、無害化には100万年以上かかる。日本が現在、計画しているのは、2020年までに発生する4万本を地層処分する最終処分場で、それ以降の発生分の処分は未定。地層処分計画はフィンランド、スウェーデン、米国で進む。フィンランド、スウェーデンは使用済み核燃料を再処理しないため、同燃料そのものを高レベル放射性廃棄物と呼ぶ。