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低価格入札


 公共工事の入札で、予定価格を大幅に下回る「低価格入札」が増えている。公共工事そのものの減少に加え、一般競争入札制度の導入拡大など、談合防止策が進み、競争が激化したことが背景にある。低価格入札の増加は税金の無駄遣いを減らす一方、行きすぎれば、手抜き工事や下請け業者の労働条件の悪化を招く恐れもあり、行政側は一定額以下の低価格で入札した業者を失格とするなど、対応の厳格化を進めている。(青木美希)


なぜ増加 「一般競争」の範囲拡大

 全国各地で発覚した談合事件を受け、国土交通省は、国発注の事業で行う一般競争入札の範囲を段階的に拡大。従来の「予定価格七億三千万円以上」から、二○○五年十月末に「三億円以上」とし、さらに同省の一機関である開発局は○六年五月末から独自に「一億円以上」に変更した。

 この結果、入札全体に占める指名競争入札の比率低下の一方で、一般競争入札が増加。これに伴い、落札率(予定価格に対する落札額の割合)も、低落傾向が顕著になっている。小泉純一郎前政権の「構造改革路線」を受け、公共工事の数や予算が減少していることも、その傾向に拍車を掛けている。

 開発局は、落札率が75%前後の入札を低価格入札と位置付けているが、同局の発注事業では年を追って低価格入札が増加。二○○○年度は十八件だったのに対し、○六年度は六十七件に上った。

開発局は 手抜き工事防止へ 契約前の調査強化
 
 低価格入札は、発注する国や自治体にとって事業費の圧縮につながる半面、落札した業者がコストを切り詰めようと、資材の品質を落とすなどの“手抜き”をする恐れも指摘されている。

 このため、開発局は低価格入札で落札した全業者を対象に、契約前に事業内容の調査を行っており、いずれも「工事の品質について問題はない」と説明している。

 業者の多くは、コストを抑えるため、独自ルートで資材を仕入れたり、人件費のカットなどで対応しているといい、工事実施後の調査結果を踏まえ、同局は「悪影響が出るほどのものはなく、低価格だから質が悪化しているとは言えない」としている。

 ただ、一部で問題が発覚した例も。○一年度に低価格落札となった釧路市内の架橋工事では、橋のたわみが生じる精度不足が工事中に発覚。昨年三月に行われた夕張シューパロダム堤防本体建設の第一期工事(予定価格五十億八千万円)では、共同企業体が46・6%の落札率で工事を請け負ったものの、実際には十億円の赤字工事であったことが、国交省の調査で分かっている。

 開発局はさらに、契約前の下請けの見積書も求めるなど調査内容の強化に乗り出している。

道の制度 最低制限価格を導入 落札率75%は失格に

 一方、道は、落札率75%前後の低価格で入札した業者を失格とする「最低制限価格制度」を採用している。

 道建設部(土木現業所分)が発注した工事を見ると、○五年度の全発注工事のうち1・7%に当たる六十六件で最低制限価格を下回って入札、これら業者を失格とした。

 他の自治体ではどうか。長野県では談合防止のため○三年に原則すべての工事に一般競争入札を導入したところ、平均落札率が73・1%にまで低下。業者から「競争激化で、赤字になる」との声が出たため、県は制限価格制度を採用した。

 福井県では、低価格入札のうち、二億円以上の工事に対して契約前の調査を実施している。県職員五人が現場で監督するほか、一部の現場には監視カメラも設置した。

 全国市民オンブズマン連絡会議の調査では、都道府県の落札率平均は○二年度は95・3%だったが、○五年度には91・1%まで下落。事務局長の新海聡弁護士は「低価格入札は適正競争になった証拠」と評価する。同年度の一億円以上の工事では平均落札率が最も低いのは長野県。最も高いのは官製談合事件が発覚した宮崎県で95・8%。道は94・7%で上から三番目だった。

 新海事務局長は「そもそも予定価格は、談合によってつり上げられてきた額だ」と指摘。「落札率80%でも業者は利益を上げられる。税金の無駄遣いをやめるため、すべてに一般競争入札を導入するべきだ」としている。

メ モ

 公共工事の入札には、原則、すべての業者が参加可能な一般競争入札と、発注側が入札の参加企業をあらかじめ指定する指名競争入札がある。これまでは指名競争入札が大半を占めていたが、談合の温床になると指摘され、一般競争入札に切り替える流れが加速。道の場合、一般競争入札の割合は05年度で全工事の7・3%だったが、本年度から段階的に、一般競争入札の対象を「予定価格5億円以上」から「原則1千万円以上」に変更する。これにより、一般競争入札は工事件数の約70%に拡大することになる。