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2004/10/28(木) 3 磯谷温泉(渡島管内南茅部町) 自分で湯引く乳白露天
だが、流れ出した湯が川に流れ込む途中に、数年前に森林作業員が入浴用に掘った長径約三メートル、深さ五十センチほどの楕円(だえん)形の穴がある。すぐそばには塩化ビニール製のパイプが放置されており、これを使って湯を引き込むと、二十分ほどで露天ぶろが完成する。 ゆう出時は七八度もあった湯も、ここまで流れる間に適温になっているという仕掛けだ。湯船は土がむき出しで、底にはヌルヌルした湯の華が堆積(たいせき)しており、必ずしも清潔とはいえないが、乳白色の硫黄泉を独り占めする開放感は何ものにも替え難い。 この温泉の歴史は古い。南茅部町史によると起源は不詳だが、幕末の探検家・松浦武四郎が無人の湯を訪れ、宿泊した記録もあるという。一八九三年(明治二十六年)に湯治場が造られ、大正時代に本格的な旅館となり、磯谷温泉朝日旅館の名で繁盛したが、一九七三年に廃業している。
「温泉教授」として知られる松田忠徳札幌国際大学教授によると、国道から近く、誰もが行ける場所で未利用の温泉が自然ゆう出する場所は、全国的にも珍しい。泉質はすばらしく、湯量も豊富とあって、経営方針さえ間違わなければ有効活用の道はいくらでもありそうだという。 未利用の温泉といえば、渡島管内には、ほかに知内町に「姫の湯跡」がある。五四度の塩化物・炭酸水素塩泉が毎分八十一リットル自噴する。知内温泉の旅館「ユートピア和楽園」が所有しているが、同旅館は十分な湯量の源泉を持っているため、現在は未利用のまま川へ流れ込んでいる。 経営者の佐藤昌介さん(74)は「温泉を利用した福祉施設や医療施設をつくるのであれば協力は惜しまない」と有効利用の道を探っている。 温泉ブームの中、すぐにも利用可能な資源が、手付かずで残るのも“天国”北海道ならではといえそうだ。 |
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