増える「メトロセクシュアル」
        衣食住にこだわり男磨く 帰属意識の低下背景に
2005/05/25(水)
おしゃれも仕事のうち?大丸札幌店の新ブランドのショップ「エポカ ウオモ」で
 三十−四十代の大都市に住むビジネスマンの間で、ファッションや食事、インテリアなど衣食住の質にこだわる人が増えてきた。最近では欧米にならい、彼らを称する「メトロセクシュアル」(都会に住み、洗練された生活を送る男性の意味)という言葉も使われ始めた。今や、デキル男は自分を磨く時代といえそうだ。(川村史子)

 「見かけも仕事のうちです。ビジネス用のスーツは季節ごとに一着は新調しますね。デザインが古くなった服は迷わず捨てます」。札幌市内の百貨店勤務のAさん(38)は、自他ともに認める、おしゃれにこだわる男だ。濃紺の細身のスーツに、白地に小さなドットの入ったワイシャツと深いワインレッドのネクタイ。靴はイタリアの高級ブランド。独身のせいもあり、可処分所得は同年齢より余裕がある。

 首都圏と比べて景気回復の恩恵が薄いといわれる道内でも、三十代以上のメトロセクシュアルを意識した商品は好調だ。中央区のセレクトショップの「ビームス札幌店」のヨーロッパのブランドの革靴。価格は六−十万円台と高価だが、「三十−五十代のビジネスマンに人気」(同店)という。

 アパレルメーカーも今春から、新ブランドを続々と投入し、消費拡大を狙う。三陽商会は今年二月から三十−四十代の男性向けに「エポカ ウオモ」の店舗展開を始めた。流行を取り入れた高級感が売りだ。オンワード樫山も三年前から脚を長く見せるパンツで知られる英国ブランドの「ジョセフ オム」を展開中だ。プロ野球球団の楽天の移動用スーツにも採用された。

 アパレルメーカーに呼応して、大丸札幌店は今年三月に紳士服売り場を改装し、三十代後半以上のブランドを強化した。三十代後半に限定すると「購買者数は前年同期比で4ポイント増で推移している」(同店)という。

 男性雑誌も消費の火つけ役となっている。二○○一年の「LEON(レオン)」(主婦と生活社)を皮切りに、今年二月の「UOMO(ウオモ)」(集英社)まで続々と男性誌が創刊された。内容は、ファッションやレストラン、インテリアなど女性誌のテーマと似た内容だ。

 なぜ都会でメトロセクシュアルなビジネスマンが増えているのか。電通消費研究センターの四元正弘プランニング・ディレクターは、「帰属意識の低下」が変化の鍵という。かつては家庭と会社、社会に対する帰属意識で頭がいっぱいで、自分のことに気を使わないのが、「“大人の男”のマナーだった」(四元氏)。

 しかし終身雇用制度の崩壊や非婚化、少子化を背景に、帰属意識が急低下し、その反動として自分の欲求に素直になる人が増えている。「メトロセクシュアルとは一種の“男の自分磨き”。自分にほれぼれしたいという気持ちが、男性の消費拡大をけん引している」と指摘している。

メトロセクシュアル

 都会(メトロポリス)に住み、流行に敏感でファッションやインテリア、美食、スキンケアなどにお金をかける20−40代の男性をさす言葉。英国の作家、マーク・シンプソンが名づけ親。2003年に米国で「メトロセクシュアル」という本がベストセラーになったことから広まった。