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| 読者へのアンケート調査による「つい使ってしまう北海道弁」ベスト20。前回に続き、第七位以下を読者の「北海道弁体験」を交えて紹介する。また、北海道方言研究会副会長の菅泰雄北海学園大教授にも北海道弁について聞いた。(菊地信、寺町志保) |
<上>やっぱ道産子だべさ <下>いいっしょ 温かい言葉 |
2004/01/17(土) 朝刊 |
| ■第7位 【ばくる】 仲買人「博労」が動詞に |
| 交換するの意。用例「順番ばくってくんない?」 日本方言大辞典(小学館)によると、ばくるは「博労(ばくろう)(牛馬の仲買人)」が動詞化した語。牛や馬と金などとを交換して歩いた職業に由来するらしい。道内、東北ばかりでなく、山梨、長野、岐阜、高知、長崎、鹿児島でも使われるという。そのほか朝鮮語が由来という説もある。 「東京、名古屋の人と仕事の打ち合わせ中、『こことここをばくれませんか』と言ったら、みんなきょとんとして『どういうことですか』と返され、その後仕事はしばらく中断、方言で盛り上がった」(四十五歳女性)、「沖縄のお店で『さっきのとばくってー』と言ったらきょとんとされた」(四十四歳女性)とのエピソードが寄せられた。ばくるを使うと「きょとん」とされてしまうようだ。 |
| ■第8位 【〜っしょ】 |
| ■第9位 【〜だわ、だべさ】 わざとらしい印象 使わない若い世代 |
| いずれも語尾につく言葉。用例「隣からもらったごしょいも(ジャガイモ)、うまいっしょ。ほんとにうまいんだわ。まてに(丁寧に)育てたんだべさ」 語尾につければ、いかにも北海道弁らしい言い回しになるが、なかなか使い方が難しい。若い世代では消えつつある北海道弁だ。 「テレビで北海道弁といえば『〜っしょ』と連呼するタレントがいるが、わざとらしいし、そんなに使わない」(三十歳女性)、「東京に住んでいた時まねされて、何にでも『〜っしょ』をつけて話されたことがある」(五十一歳女性)との声も。 |
| ■第10位 【めんこい】 古語に由来、道外でも |
| かわいいの意。用例「ちゃんこくてめんこい子だ」 めんこいは古語に由来し、「めごい」「めごこい」「めぐい」「めちゃこい」など、全国各地にさまざまな形で残っている。「めんこい」は道内、東北各地のほか、新潟県佐渡や横浜でも使われるという。 「東京のいとこが遊びに来た時、つれてきた娘に『やー、めんこいね』を連発してしまい、ハッと気付き少し恥ずかしくなった」(四十歳男性)、「内地の姪(めい)がまだ小さい時、『めんこいね』と言ったら変な顔をされた」(六十五歳女性)などの回答があった。でも、本当にかわいい子を前にしたら「めんこい」しか出てこないことはある。 |
| ■北海道弁の印象は 「共通語に近い」「自覚がない」/「愛きょうある」「語尾きつい」 |
| 第十一位から第二十位までは表の通り。いずれも北海道弁の重要語だ。 |
◇ |
| このほか回答では「共通語にきわめて近いと思う」(二十三歳男性)、「どのぐらい自分の言葉に北海道弁が含まれているのか自覚がない」(三十歳女性)、「ほとんど標準語と一緒」(三十一歳女性)、「標準語と思って使っています」(六十五歳女性)など、方言と意識していないという声が多く聞かれた。 また、北海道弁の印象について聞くと、「大きくて温かい感じがして好きです」(二十一歳女性)、「愛きょうがあっていいと思う」(二十九歳男性)、「北海道が情報の発信地と思っているからどんどん使って広めたい」(四十三歳男性)と好意的な意見が多かった。 中には「耳から受ける印象は汚いけれど、温かみがあり、内地で耳にすると振りかえらさります」(五十五歳女性)と、北海道弁で答えてくれた人も。 「大学時代は、仙台で北海道弁推進委員会を一人で結成して活動した。知っている人に北海道弁で話し掛けるだけですが。今も職場で活動中です」という二十四歳の女性もいた。 一方、否定的な意見も幅広い世代から聞かれた。「やや卑屈さが混じっているように感じる」(二十二歳女性)、「響きが重いので他の地方の方言の方が好まれる経験が多い」(二十六歳男性)、「けんかしているのかと思われる。語尾がきついので」(五十五歳女性)、「やぼったく感じているのであまり好んで使いたくない、使ってもらいたくない」(五十六歳男性)、「本州での生活が長かったが、北海道弁に対する見方があまり好意的でないので自然と使わなくなった」(七十歳男性)などがあった。 |
| ■北海学園大・菅教授に聞く 新旧東西混じる/はやり廃りも | ||
−−北海道方言の特徴は。 新旧東西が混ざっていて、沖縄でいう「ちゃんぷるー」ですね。 調査結果を見ると大半が東北系ですが、「わや」(第十八位)は関西系。北前船の影響で道南には関西由来の言葉が多く、江差には「おっきに(ありがとう)」などが残っています。また、古語から来た言葉もあり、「めんこい」(第十位)は「めぐし」が変化して東北から道内に入りました。 一方、若者が方言と意識しつつ使うのが「新方言」。若者はインパクトや仲間意識を狙って伝統的方言を転用するため、新方言の担い手になるんですね。「なまら」(第十五位)は「生半可」を意味する浜言葉が「とても」の意味に変わり、全道に広がっています。「したっけ」(第十九位)は二十年ほど前に別れのあいさつとして流行しましたが、今は下火です。 −−調査では「方言と自覚せずに使っていた」という回答が目立ちました。なぜですか。 北海道方言は、「(ごみを)投げる」のように意味は違っても共通語と同じ語形、あるいは「かがと(かかと)」のように共通語と同じ意味で語形も似ている言葉が多いため、気付きにくいということがあります。また、お国言葉を持ち寄った開拓の歴史から、意味さえ通じればアクセントの違いには意外にむとんちゃくな側面もありますね。 それと気付かずに使っている方言には「観楓(かんぷう)会」「炊事遠足」「番茶(ほうじ茶の意味)」「生ずし(握りずし)」、発音では「なんぽく(南北)」「よんふん(四分)」などがあります。 一方で「すがもり(解けた氷による雨漏り)」「ごしょいも(ジャガイモ)」「かまどかえす(破産する)」「でれっき(火かき棒)」「かくまき(婦人用防寒衣)」など、生活の変化により若い世代で使われなくなった方言もあります。 −−ご自身が好きな北海道方言は。 私が好きなのは「なんも」。敬語は発達しなかったけど、相手を気遣う道産子の優しさが表れた、いい言葉だと思います。 方言には、感情や感覚と結びついた生活語が多い。高齢社会を迎えて、医療関係者がお年寄りと接する機会が増えている。将来、医学部や医療専門学校で方言講座が必要な時代が来ますよ。 |