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2003/11/13(木) <上> 気概と人情 繁華街支え |
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◇すすきの市場◇ 札幌市中央区南6西4の南側の一角にある。広さ780平方メートル。管理は市の第三セクター、札幌振興公社。1922年(大正11年)に札幌の2カ所目の公設市場として設置された「第二公設廉売市場」が前身。58年に地下1階、地上5階の現在の建物に建て替えられた。当時は最多の32店舗が入居していた。現在は建物の老朽化により給排水や電気設備の修理代がかさむのが悩み。地下は飲食街「薄野ゼロ番地」、2−5階は都市基盤整備公団の公営住宅になっている。 |
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| 狭い通路にせり出すように商品が並ぶすすきの市場。タイムスリップしたかのような懐かしさがある | ||
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品質が自慢の「台所」 |
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午前中には仕込み前の料理店主が厳しい目で魚や野菜を品定め。日暮れ時には出勤前のスナックのママが菓子やつまみを選んで駆け足で店を去る…といった具合に、時間帯で客の顔ぶれが変わる。 まず目に付くのは、東端の雑貨店・大橋商店。 店頭に杉やヒノキ、竹などさまざまな材質で作った大袋入りの割りばしが並ぶ。高価な杉製のはしの売り上げは、景気の波に合わせるように減った。反対に大型店や百円ショップなど商売敵は増えた。 父、兄、姉と守り継いだ店を大橋信次さん(79)が継いで五年。何十年前だろうか、兄、姉が店を守ったころの繁華街のにぎわいが忘れられない。だから「ススキノがもう一度にぎわうのを願い、店を守っているんだよ」。 「ススキノの台所」という気概と品質自慢。この言葉が市場で働く人の思いを代弁している。 ぷりぷりした真ダチ、ハタハタ、アンコウ、銀色に輝くヤリイカ−。桜井水産の店頭には、桜井豊さん(57)が毎朝、札幌の中央卸売市場から仕入れた旬の魚介類が所狭しと並ぶ。長靴姿の従業員が、行き先を告げては得意先に配達に出る。「ついでにみりんも」などと頼まれ、市場内で調達して行くことも多い。 なじみの料理人がアワビを手に満足そうにうなずくと、桜井さんが「ウニは道内産」と声をかける。厳しい時代こそ、品質で勝負だと桜井さん。 |
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夜のマチ彩る心配り |
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中川青果店の店頭には、里芋、大根などの野菜や果物とともに、ナンテン、ツバキの葉といった刺し身やフルーツ盛り合わせに欠かせない素材も並ぶ。品物は見た目が重要だから、形が整った“美形”ばかりだ。店を切り盛りする川住幸一さん(55)は、道内の市場では流通量が少ない京野菜を確保し、すし店や料理屋に届けるのが自慢だ。 名刺の印刷やハンコ作製を手がける明純印房で、坂本淳さん(51)にそっと教えられた。「ここ数年、風俗店の名刺の注文が増えた。店名をぼかす注文もある。奥さんに名刺を見られると困るお客さんの要望なんだって」。バブル期に人気だった高価な筆文字や金色の飾りは減った。
月曜の午後七時半。フラワーショップささきの佐々木則子さん(52)が花とハサミを手に、ネオン街に飛び出した。向かうは南六西三のスナック鄙妥◆(ひだか)。毎週月曜に、得意先のすし店やスナックで花を生けるのが佐々木さんの日課。薄暗い照明に映える明るい色と枝ぶりがいいものを交える。 厳しい台所事情で真っ先に削られるのは花代なのか、得意先も徐々に減った。客の目も厳しく一週間は枯れない花を求められる。造花で済ます店も増えた。 でも、鄙妥◆のカウンターに佐々木さんが、トルコキキョウ、ドラゴンヤナギに赤い葉や実を加えてあしらうと店内がぱっと明るくなった。 ススキノ歴三十年以上の日高聖美ママが一言。「私や店の女の子の誕生日の後はお客さまからいただく花で店がいっぱい。そんな時には佐々木さんが『今週は必要ないですね』と声をかけてくれるのがいいのよ」。 ススキノの人情の一端に触れた気がした。 次回は、年齢を感じさせない朗らかな笑顔で客を引きつける市場の「ご長寿さん」を紹介する。 |