学園ひろば
2006/10/17(火)
 高校生の職場体験広がらず
      4年目迎える札幌の推進委 安全性、意識面に課題

市内のホテルの宴会場で会場設営を体験する市立高校生たち=9月6日
 学生が企業などを訪れて職場を見学したり、仕事を体験したりするインターンシップ。札幌市内でもほとんどの高校が導入しているが、多くは職場見学どまりだ。高校側には「体験型メニューを増やして内容を深めたい」との思いが強いが、企業側には「実現には生徒の意識改革や期間の延長が必要」との意見がある。(荒谷健一郎)

◆生徒には満足感

 札幌市立高校教員や市教委などでつくる「進路探究学習推進委員会」は、二年生で取り組む進路探究の一環として、二○○三年度から「職場体験学習」を行っている。

 本年度は九月、二日間に分けて、全日制普通科の全二年生の約二千人が参加した。札幌商工会議所などの協力で受け入れ先は当初から約三十増え、工場やスーパー、商店など約百五十に上る。

 同委員会は本年度、受け入れ先に対し、体験型のメニューを増やすよう申し入れた。「働くことの大変さを実感させたい」との思いからだ。ある教員は「総花的な職場見学よりも、わずかでも実際に仕事を体験できた生徒の方が、例年、満足度が高い」と指摘する。

◆慎重な民間企業

 しかし、民間企業の多くは体験型メニューに慎重だ。ある教員は「体験型メニューのある企業は少なく、うちの高校では保育園やホテルぐらい。今年もあまり増えなかった」と打ち明ける。

 体験型メニューが広がらない理由はさまざまだ。高校生をごみ収集車に同乗させ、作業を見学させている清掃業者は、「実際の収集はさせられない。けがをさせたら大変ですから」ときっぱり。研修医の講話や院内見学を行う病院は、「患者のプライバシーもあり、外部の人間を入れるのには限界がある」と話す。

 生徒側の意識を問題にする声もある。「高卒就職者が少ないため、意識がまちまち。体験させるには準備が必要で、物見遊山の生徒にそこまでできない」という旅行業者は、「そもそも一日では、内容の濃いものにしようがない」と話す。

 一方、北区のホテル「札幌サンプラザ」は、これまでのフロント業務などに加え、今年から皿洗いや営業受け付けなどもメニューに入れた。「受け入れ側としては忙しくなるが、若者の早期離職はうちにとっても大きな問題」と担当者。同時に、受け入れた生徒が将来、顧客になればとの思惑もある。

◆離職率高く37%

 北海道労働局によると、二○○四年度に高校を卒業し、札幌近郊で就職した若者の一年以内の離職率は37%で、全国平均の25%よりも10ポイント以上高く、道内平均の35%を上回る。同局は「他の都府県に比べて賃金が低いのに加え、道内志向が強い割に求人が少ないため選択肢が減り、就職先のミスマッチが多いことが考えられる」と話す。

 各高校の担当教員は企業側の要望に応えられるよう業務内容の事前学習を強化するなどして対応している。市教委は「課題もあるが、解決策を考え、企業に一層の協力をお願いしたい」という。