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「防災無線で『投票に行こう』と流したら、住民から『うるさい』と苦情が来るんですよ」
道選管委員長の土屋良三は六月末、渡島管内のある町を視察で訪れ、選管事務局職員から参院選の現状を聞かされた。
「政治不信じゃない。核家族化や地域での連帯の欠如という社会の変化、さらには衆院選が政党選択の色合いが濃い小選挙区制になり、身近に感じる候補者がいなくなったこと。投票に行くインセンティブ(刺激)がなさ過ぎるよなあ」。土屋は最近の低投票率について独自に分析する。
一九七九年から九一年まで自民党道議を三期務めた土屋だが、自らの選挙では投票率の低さを実感することはなかった。
「地元の美唄では投票率はいつも70%前後。隣近所の人に出会えば『選挙に行ったか』と声を掛け、投票しないと後ろめたさを感じた。そんな地域の雰囲気も投票率の高さにつながったと思う」と述懐する。
その土屋が投票率の低さを気にしだしたのは道議引退後だ。
九五年には参院選道選挙区の投票率が、史上最低の46・92%を記録。その後も50%台後半にとどまっている。全国的には昨年の衆院選小選挙区が史上二番目に低い59・86%。今年四月の衆院埼玉8区の補選は35・22%という低さだった。
都市部の若者の政治離れに、土屋は強い危機感を抱く。その対策もあって、四日には人気タレントの大泉洋らと、札幌市内で「投票に行こう」と街頭啓発に立った。
ただ、ありきたりの運動に限界も感じている。「大事なのは教育だ」。今年から始まった高校生などを対象にした模擬投票の拡大に取り組む。「学校で政治参加の重要性を教えるよう、道選管として訴えたい」と言う。
「一歩、一歩積み重ねていかないと、この流れは止められない」。土屋は投票率が一ポイントでも上がることを願いながら、投票日の十一日を待つ。=敬称略=
(貴志雅之)
<おわり>
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