「年金なんて話をするのもばからしい」
札幌・ススキノの雑居ビルにある小さなバー。三十代の男性経営者が、年金問題を話題に振ると、常連客の一人はこうつぶやいた。
三、四十代の客層が多い店内では昨年来、年金問題が会話に上ることも多かった。だが、ここに来てぴたりとやんだ。それは、年金改革への国民の期待感が、今や「不信」に転じたことを如実に示すものだ。
中でも、与野党の党首にも波及した国会議員の未納問題の逆風は道内でも、すさまじかった。
「年金を払ってない議員に出す名簿はない」。参院選道選挙区から出馬する民主党現職、峰崎直樹氏の陣営幹部は五月下旬、札幌市内の旧知の会社幹部を訪ねると、いきなりこう宣告された。
比例代表で三選を目指す公明党現職の風間昶氏も未納が発覚し、道内での支持者集会では「本当にご迷惑をかけました…」と涙を流してまで謝罪せざるを得なかった。
国民の将来の生活設計に直結する年金改革。なのに、年金制度改革関連法案をめぐる国会での論戦は、本質論議に踏み込まずに低調に推移し、最後は与党が数を頼りに徹夜国会の末、同法を成立させた。
「年金問題は、このままでは大変なことになるから、きちんと考えようということではなかったのか」。自民党を長年支持してきたというバーの男性経営者は、吐き捨てるように言った。(佐藤正基) |