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(上)保守分裂
改革より「地元」優先
(敬称略)
2004/07/07(水) 朝刊
札幌に駆けつけた小泉純一郎首相と一緒に支持を訴える中川義雄(左)
利益誘導を強調
これまでとは明らかに違う光景だった。
「改革の芽は出てきた。それを大きな木に育てるのが自民党の使命だ」
六日午後、札幌・大通公園に、首相小泉純一郎の声が響き渡った。昨年十一月の衆院選以来の札幌遊説。大勢の自民党支持者が集まったが、歓迎の旗の波はあまり揺れず、足を止めない通行人も目立った。
三年前、小泉ブームで道選挙区で大勝した参院議員伊達忠一の陣営関係者は「当時の熱気は感じなかった。総理を三年半もやると飽きられるのかなあ」とつぶやいた。
小泉人気の陰りに危機感を強めるのが自民党現職の中川義雄だ。小泉の前にマイクを握った中川は「なぜ北海道だけ景気が回復しないのかと怒りの声を聞く。それを受け止めしっかりした政治にしたい」と訴えたが「小泉改革」の言葉は使わなかった。痛みを伴う構造改革路線は票になりにくいとの判断からだ。
代わりに地元への利益誘導を強調する場面が増えている。
「中川さんが万一、具合の悪いことになると、北海道新幹線はできなくなる」。道経協名誉会長の武井正直は五日、札幌市内で開かれた中川支援の集会で叫んだ。
「中川支持の弱い地域は開建の予算を減らせ」と明言する国会議員も出てきた。中川陣営は業界締め付けという旧来手法で逃げ切りを図る。
松山千春とのアベック選挙を展開する鈴木宗男(左)
小泉政治打破を
「ムネオに力を貸してください。北海道の反乱、ムネオの反乱を起こしましょう」
小泉が演説した二日前の四日、無所属新人の元衆院議員鈴木宗男が同じ大通公園で支持を訴えた。規模は及ばないが、反応は良い。若者が小走りで近づき、携帯電話を掲げ鈴木を撮ったり、握手を求めて群がった。
鈴木はあっせん収賄罪で公判中だが、それを忘れたように、若者が知名度の高い鈴木の元に寄ってくる。同じ十勝管内足寄町出身の歌手、松山千春の応援で無党派層に食い込みを図る。
鈴木の「反乱」は、「地方切り捨ての小泉政治の打破」を意味する。小泉路線に対峙(たいじ)するからこそ、公共事業の必要論、年金批判、多国籍軍の自衛隊参加反対を存分に主張できる。それが二年前の宗男バッシングを鎮め、逆に追い風を呼び起こそうとしている。小泉人気の神通力が失われてきた自民党の足元を揺さぶる構図だ。
ただ、鈴木の追い上げムードがどこまで票につながるかは見えない。陣営幹部は「あの若者たちが投票に向かうだろうか」と首をかしげる。
民主党北海道代表の鉢呂吉雄は「刑事被告人がちやほやされる選挙戦でいいのか」と主張。鈴木に近い道議でさえ「鈴木の手法はもう古い。公共事業が増える時代じゃない」と話す。
激しさが増す保守分裂選挙。自民党を支持してきた道央の土建業者の社員は悩みを打ち明けた。
「鈴木に力があったのはわかるが、自民党を離れて腕を振るえるのか。それとも政権政党の中川がいいのか。誰に投票するか決められないんだ」
◇
投票日まであと四日に迫った参院選。最終攻防を繰り広げる道選挙区の有力六候補のつばぜり合いを追った。
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