|
10区 空知管内 農民票分裂 混乱招く
|
| 元衆院議員の父小平忠の石碑が立つ岩見沢市内の構造改善センター。民主前職の小平忠正は十六日の個人演説会で、「野党無力論」を展開する自民党陣営に怒りをぶつけた。 「『野党は何もできない』というが、空知だけ米価が低く、農家負債が多いのか。もしそうなら、私はこの選挙に出ない」 対する自民党候補は、地元の空知管内幌加内町出身で前農水省商業課長の新人山下貴史。前回小平推薦で一本化した農業団体のうち、小平は従来通り空知農民連合(盟友約一万三千人)の推薦を得たが、山下は空知管内農協組合長会と土地改良区の政治組織の推薦を取り付けた。農民代表を自任する小平の怒りは、「おれがつくった美田を守り抜け」と忠が伝えた票田の一角を崩されたことに対する焦燥感の表れとも言える。 これに先立つ公示日の十三日、元多度志町農協組合長(深川市)でもある板垣淳一ホクレン副会長は、岩見沢市内で開かれた山下陣営の出陣式でマイクを握った。「二十一世紀に向け、稲作中心の空知の地盤沈下を改善しなければならない。長い間の人間関係や義理人情と言っている場合ではない」 農民組織が割れ、農民票が分裂する構図になった今回の衆院選は、管内各地に混乱を引き起こしている。ある農協幹部が山下のポスターを張れば、農民協議会(農民連合の下部組織)の関係者が引きはがす。農協側が建物内にある農民協の部屋を撤収させる動きや、ポスターをめぐる確執を予想して、事前に両者とも張らないことを「協定」したところも。 一方、小平、山下双方の後援会に農協幹部が名前を連ねたり、両候補に平等に接しようと遊説を総出で出迎える農協支所も現れた。 ある自民党道議は「渡辺先生(省一元自民党衆院議員)は小平の牙城(がじょう)の農協に入ることもままならなかった。前回一枚岩だった農協が山下推薦に回ってくれただけで効果は絶大」とささやく。「与党の威光」を背に、自民党が選挙戦で動きの鈍い団体をチェックする動きも顕著だ。 一方、混乱の渦中に置かれた農民連合。「農民は政党によらず、小平忠(民社、元衆院議員)、北修二(自民、元参院議員)らの農民代表を支援してきた。今回のように二人の出馬は現場にとって本当に困る」。幹部は苦渋の表情を見せるが、両陣営のオセロゲームのような票の奪い合いは激化する一方だ。 (敬称略) |