インサイド総選挙

12区 網走管内 市長選の雪辱へ意地
 「おかしいな」

 五月下旬、自民党前職武部勤の北見市連合後援会幹部は、北見北部・仁頃地区の支持者カードの少なさに、首をひねった。現地に足を運んだこの幹部はそこに、同地区を地盤としていた前北見市長・小山健一の影を見た。

 「現職の小山有利」とされていた昨年の北見市長選は、武部の強力な支援を得た新人の神田孝次が四百九十六票差で小山を下した。失意の小山は、その後、妻を亡くす不幸にも見舞われ、「このまま静かに暮らそう」と考えていた。しかし、民主党元職の永井哲男陣営の要請を受け、五月二十七日、永井の連合後援会長に就任。再び政治の世界に戻った。

 「ひとことでいえば、男の意地だ」。小山は就任の理由を、こう説明する。

 小山の再選を阻んだのは、武部−船橋利実(自民党道議)−神田のラインだ。当時のヒット曲になぞらえ、三人が自ら「だんご三兄弟」と呼ぶほどの固い結束ぶりだった。小山の胸の内には、自身の一期四年の市政運営を「めちゃめちゃで、ばらまき」の神田市政が踏みにじっているとの思いがくすぶる。五月に入ってから武部支援の動きを活発化させた神田の姿が、その心に火を付けた。

 小山の「復活」に、武部陣営は緊張した。市長選で小山は、自民党道連会長である鈴木宗男の北見後援会を味方に付けている。中選挙区時代の自民党内部のあつれきを解消し、保守一本化を目指す武部は、市長選の構図再現は避けたい。陣営内では一時「小山対神田」の図式を薄めるため、「神田は選挙戦から距離を置いた方がいいのではないか」との声すら出た。

 「同じところばかり回っても票は増えない。新規開拓に動け」。前首相・小渕恵三の葬儀を終えて八日夜、北見に戻った武部は、元秘書の北見市議に檄(げき)を飛ばした。

 武部と永井の過去三回の対戦は、いずれも総得票は武部の圧勝だが、北見に限れば接戦で、一九九三年には永井が三票差まで迫った。12区の最大都市、北見で勝ってこそ本当の勝利と考える武部の執念と、小山の意地がぶつかり合う。

 「武部と神田にひと泡吹かせてやりたい。人がなんと言おうとね」。小山は最近、周辺にこう漏らした。

(敬称略)



北海道新聞
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