インサイド総選挙

8区 渡島・桧山管内 激しい業界票争奪戦
 「はじめて見た光景だ」。十五日、函館市内のホテルで開かれた自身の建設関連後援会の大集会で、自民党前職佐藤孝行は驚きを隠せなかった。集結した業界関係者は実に三千人余り。函館建設業協会長の黒田憲治は「私たちができる景気対策は、佐藤を国会に送ることだ」とボルテージを上げた。

 前回総選挙で、佐藤が小選挙区で敗北したのは、旧3区時代、元道開発庁長官の阿部文男と繰り広げた戦いの恩しゅうを引きずり、阿部の後援会も包含したはずの選対が十分機能しなかったからだ。旧阿部派の一部は、民主党前職の鉢呂吉雄に流れた。

 昨春の函館市長選では、佐藤が直系の元道議を、旧阿部派の流れをくむ前市長の故木戸浦隆一グループは助役の井上博司(現市長)を推し、保守層が分裂した。

 今選挙で佐藤は公示直前まで「商工会議所はどうなっているのか」と鈍い動きにいら立っていた。それが選挙戦に入って和らいだ。

 「佐藤先生のためではなく、私たちのためにこの戦いを勝ち抜きたい」。市長選のしこりから選対に顔を見せなかった函館商工会議所会頭の高野洋蔵が公示日の出陣式であいさつ。支援ムードを一気に盛り上げた。長引く不況が企業の間に公共事業への渇望感を増幅させ、与党の佐藤の求心力を押し上げる。

 一方の鉢呂陣営も終盤に、企業や商店主らにしぼった集会を開く。労組の動員などを仰がない民主候補として異例のイベントだが「大丈夫。千人は集まる」と強気だ。今回、労組主体の選対とは別に、企業対策専門の拠点を別に設け、旧阿部派や反佐藤の企業に食い込んできた自信からだ。

 函館市内の商店や食品加工業者の間では「佐藤の世話にも国の世話にもなっていない」と打ち明けるところは少なくなく、鉢呂本人が、佐藤のポスターが張ってある企業に乗り込み、支持をひっくり返す荒業も仕掛けてきた。

 佐藤、鉢呂の厳しい企業の囲い込みが進行する。同時に、各方面に影響力を持つ市長、井上の動静に視線が集まり出した。「保守感覚」を自認する井上は「心情的には佐藤」と漏らしながらも、自身の後援会や市議会運営に配慮し、表だった動きを控えている。井上は「よく考えてみる」とまだ手の内を明かさない。

(敬称略)



北海道新聞
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