第2部 腐食
「先生の視線の中に入っていた方が有利」 |
| 2001年9月、釧路市内で1件の入札が行われた。釧路開建発注の釧路西港防波堤ブロック製作工事。参加したのは、地元の港湾土木業者8社。全社に共通点があった。 どの企業も1995−2000年にかけて、鈴木宗男に政治献金をしていた。少ない社で総額168万円、多い社で同2400万円。入札は予定価格の99.02%で、毎年献金し、献金額が最も多い根室市の業者が1億2500万円で落札した。 鈴木に献金している業者同士が落札を争う入札が、釧根で「日常の風景」となっている。98年度に始まった西港第2期工事も、2001年度までで入札参加業者の76%は献金業者。落札して受注した業者の80%も献金業者となっている。(共同企業体は構成員を1社ずつ計上) 「選挙区で、たいていのところは私の後援会に入っていますよ。広く薄くですよ。北海道中そうじゃないですか」 逮捕3日前の2002年6月16日、東京都内のホテルで北海道新聞と単独会見した鈴木は「後援企業に受注が集まっている」との問いに怒気で顔が真っ赤に染まった。 「そういう見方が、間違っているんですよ!」 だが、そう仕向けたのは、誰だったのか。
地元建設業協会の幹部から毎年、鈴木の新年交礼会のパーティー券数10万円分を購入するよう半強制的に求められている業者もいる。 「鈴木先生は下請けにどこを使えと、元請けに注文することがあると聞いた。下請けに入るのを邪魔されたくないから、先生の『視線』の中に入っておいた方が有利と思った」。西港関連の工事で、大手の下請けに入った釧路管内の業者は、献金の理由をこう明かした。 「邪魔されたくない」。ヤクザの用心棒代と同じ論理、と献金業者の多くが口をそろえた。 業者など釧根からの鈴木への政治献金は、1995年は約2900万円だったが、2000年には約8600万円と約3倍に膨れ上がった。 道央で土木・建築資材を扱う地場商社の社長は、「邪魔」されたことが昨年までに3度ある。土現発注のダム工事の資材納入で、工事を受注したゼネコンと土現の担当者から「鈴木先生が出てきて、先生が推す会社の名前が出ている」と断念を求められた。社長は「ゼネコン本社や土現に聞きに行っても『(そんな事実は)あるわけない』と突き放されるだけ」とあきらめた。 この社長は鈴木事務所を「鈴木商会」と呼んだ。「実体のない会社だが、頼めば仕事を受けられる確率は高い。ただ、3−5%のマージン(裏金)を取られる。もうかるのは政治家と元請けの大手ゼネコン、商社だけさ」 (敬称略) |