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戦アテネ

女子柔道70キロ級
上野 雅恵

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タイトル
上野 雅恵 うえの・まさえ 2001、03年の世界選手権女子70キロ級を連覇。2000年シドニー五輪は3回戦で敗退した。柔道四段。旭南高出。161センチ、70キロ。25歳。旭川市出身。
タイトル

2004/6/8(火)朝刊

力の源泉 父母、妹
上野 雅恵
 身近に柔道があったから自然と柔道に親しんだ。柔道女子70キロ級の上野雅恵(三井住友海上−旭南高)は、道場を遊び場に育ち、柔道家の両親に鍛え上げられた。シドニー五輪の惨敗を糧に成長し、その後、世界選手権を2連覇。優勝候補筆頭に挙げられるアテネで狙うのはもちろん頂点のみ。家族のため、そして自分のために五輪発祥の地に向かう。

1歳から道場が遊び場

 2003年夏、大阪で開かれた世界選手権。上野は心技体に充実した柔道を繰り広げ、ライバルを次々となぎ倒した。

 「日本人選手と戦うより、正面から向かってくる外国人選手と戦うほうが好き」。ぐいぐいと前に出て先手、先手と攻める。得意の足技から寝技への連係も申し分なく、5試合をすべて一本勝ちした。完ぺきな試合内容に誰もが驚嘆し、賛辞を贈った。

 女子日本代表の吉村監督は「前回(世界選手権の優勝)は運もあったが、今回は実力でつかんだ」と世界選手権2連覇を達成した上野を褒めちぎった。日本が制した男女6階級のうち、全試合一本勝ちは、上野と「世界最強の柔道家」井上康生(綜合警備保障)のみ。上野は日本の“お家芸”を支える女子のエースに堂々と名乗りを上げた。

 柔道との出合いはわずか1歳の時だった。生後まもなく転居した網走管内湧別町。父の法美(のりみ)さんが指導する柔道教室で、母の和香子さんが柔道を習い始めたため、道場に連れて行かれた。立ち上がったばかりの幼子は、畳の上が遊び場になった。母と一緒に道着に袖を通して練習を始めるのに時間はかからなかった。

 父は厳しかった。小学校入学後、「運動能力が他の子よりあった」というわが子の才能を見抜き、スパルタ教育が始まった。試合で負けると鉄拳が飛び、勝っても内容が悪いと殴られた。泣くと、さらに殴られた。それでも素直な性格の上野は、反発することはなかった。砂漠が水を吸い込むように技術を吸収し、めきめきと腕を上げていった。

「自分を出し切るのみ」

 今、上野は「柔道に出合わせてくれた」父母に感謝の気持ちでいっぱいだという。「自分が勝つことで家族が本当に喜んでくれる」。家族への恩返しの思いが、上野の力の源となっている。

 前回のシドニー五輪は「死ぬ気」で臨んだ。しかし、21歳の若者は重圧感に押しつぶされ、3回戦で敗退した。このとき流した家族全員の悔し涙…。そして、今年、あと一歩のところでアテネ五輪を逃した妹・順恵(よしえ)の無念…。積もり積もった家族の思いを胸に、上野は闘争心を研ぎ澄ます。

 「(五輪ということを)意識しすぎないで、自分を出し切るのみです」。ひと回りもふた回りも成長した上野の視界は広がっている。


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