■総集編 日本、若手育成が急務
eyes
取材メモから
ソルトレークシティー五輪が24日、閉幕した。長野五輪に続く活躍が期待された日本は、銀、銅各1個のメダル2個にとどまり、外国勢では地元・米国の躍進が著しかった。空前の警備態勢で開催された平和の祭典は、幸い不測の事態こそ起きなかったが、競技会場では採点や判定をめぐるトラブルが相次いだ。ソルトレークの17日間を担当記者4人が振り返った。
(山本十三介、酒井信太郎、鷲見浩二、守屋裕之)
■競技結果
ベテラン奮闘が低迷映す
白幡、今井 メダルに匹敵
過剰な警戒 運営は成功
A
米中枢同時テロで開催さえ危ぶまれた大会だったが、不穏な動きはなく、無事終えることができたね。
B
各会場とも金網に囲まれた“オリの中”の五輪。米国の威信をかけた大会だったわけだが、その米国の活躍が際立った。メダル34個は冬季五輪では同国最多だ。
C
それに比べると、日本勢は振るわなかった。日本オリンピック委員会(JOC)は長野と同じ計10個のメダル獲得を目標にしていたが、結局2個だけ。選手は参加国中8番目の109人。費用対効果が随分低いね。
D
当初はリレハンメル大会(65人)並みの予定だったんだ。それがワールドカップ(W杯)などで参加資格を得たからといって、どんどん膨らんだ。
B
将来を見越して若手に勉強させるのなら分かるけれど、そうでない人選もあった。
C
日本経済は不況のどん底。大金を使って「参加することに意義がある」じゃあ、国民は納得しない。
A
スキーのアルペンは、実績を重視して代表枠を返上した。今後はこういうケースが増えるかもしれないね。
D
日本の敗因は、長野五輪以降、世代交代が進まなかったことに尽きると思うが。
A
期待されたジャンプは、山田大起以外が長野五輪組。結局、船木和喜や原田雅彦を超える新星が出てこなかった。
B
そのほかの競技でも、半数以上の選手が長野の経験者。原稿を書くときも、選手個人のデータが豊富な半面、新鮮味をどう出すかで、苦労した。
C
若手で目立ったのは、複合スプリントで6位入賞した高橋大斗。今季からフィンランド人コーチが走力を鍛えた成果が表れた。もう1年早くコーチに迎えたかった。
A
ほかに光った若手といえば、フィギュア・シングルで入賞した本田武史、村主章枝やスノーボード男子ハーフパイプの中井孝治、スキー距離の夏見円ぐらい。ベテランの奮闘ぶりが話題になったが、それは全体的な成績低迷の裏返しだと思う。
B
日本のお家芸、スピードスケートの短距離で活躍したのは、長野のメダリスト清水宏保と岡崎朋美だった。男子1万で4位となった白幡圭史を含め、いずれも五輪は3度目。選手寿命が長い競技とはいえ、4年後のトリノ五輪で好成績を望むのは厳しい。
C
スキー距離の男子50キロクラシカルで6位に食い込んだ今井博幸は日本距離選手では初の入賞で、白幡とともにメダルに匹敵するよ。31歳で4度目の五輪。1位となった選手のドーピングで順位が1つ上がるご褒美もついた。
D
37歳の最年長でスケルトンに出場した越和宏はマイナー競技を広めた貢献が大きい。8位入賞も立派だった。
■大会運営
米国寄り採点「当然」の声も
A
過剰なまでのセキュリティーチェックは、かなり話題になっていたけれど、心配された交通渋滞が起こらなかった。全般的に運営はうまくいっていたね。
C
ボランティアも一生懸命だった。バスの運転手が自前で果物やチョコレートを配ってくれたり。もてなしの気持ちに感動した。
B
意外なことに五輪期間中、最初は町中があまり込んでいなかった気がする。
C
地元の人に聞くと、警備の厳重さや交通渋滞などを懸念した市民が中心部に出るのを敬遠したらしいんだ。
D
採点や判定のトラブルを米国市民はどう受け止めたのかな。
C
市民の反応を聞いてみると、メディアやスポンサーが五輪に深くかかわっていることを危ぐする声があった。市内の男性音楽家(49)は「メディアが出てきて問題を大きくした。フィギュアでカナダの銀をあっという間に金にしてしまったのが、ほかの人たちも訴えれば変わるという悪癖にもなった」と心配していた。
A
米国寄りと批判も出ていた部分についてはどうだろう。
B
ニューヨークから来ていたビジネスマン(34)は「審判に圧力をかけるような行為は極めて問題。採点が不公平なのだから、判定が翻るのは当たり前。米国寄りだなんて批判はおかしいよ」と言っていた。一方、「米国でやるんだから、米国寄りのムードになるのは仕方がない。もちろんスポーツの場で本当に不公平があってはならないのは分かっているけどね」と本音を口にする市民もいたよ。
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