■狂牛病フォーラム パネリストの発言要旨



国の対策遅すぎ

 
網走管内佐呂間町 堀次郎町長

 国内初の感染牛が佐呂間産と報道され、地元では農家だけでなく町民全体に不安が広がっている。

 町は関係機関や団体、近隣町村と連携して対応策を進めたほか、感染経路の究明にも協力し情報公開にも努めてきた。

 しかし、佐呂間産の牛肉などは本州で見向きもされていないという。国の対策は後手後手に回り、生産者や消費者に不安を与えたといえる。

 今回の問題を通して豊かな大地を活用して本当に安全な食品を生産するのが生産基地・北海道の役割と自覚すべきだ。昨年の口蹄(こうてい)疫の問題を見ても、生産性追求の中でどこか落ち度があったのではないか。

 農家は安全な食品作りに努力し、消費者はその努力を理解する。そんな信頼関係を築ければ、今回のような問題が再び起こることはない。







三段構えで対処

 
帯広畜産大 品川森一教授

 現在、食肉処理場ではと畜前の生体検査、エライザ法による1次検査(ふるい分け検査)、さらに病原体の異常プリオンがたまりやすい特定危険部位を除去するという、3段構えの狂牛病対策を取り、肉の安全性を確保している。

 1次検査で陽性が出た場合、帯畜大などでウエスタンブロット法、病理組織検査、免疫組織化学検査の3種類の2次検査(確認検査)を行う。検査期間の1週間は短縮が必要だ。(【注】その後、厚生労働省が検査期間を3日間とした)

 今回の問題を通して、生産者には「食品」を作っているという認識、飼料メーカーには「動物のえさ」ではなく「食品を作るためのえさ」という認識をそれぞれ求めたい。

 消費者も安全は決して安くないのだと分かってもらいたい。







初期症状に注意

 
十勝家畜保健衛生所 三上祐二所長

 家畜保健衛生所の役割は、飼育段階で動物の疾病を監視することなのだが、狂牛病に関しては生前の診断法がまだ確立されていない。

 このため、大発生した英国の症例を基に、生産現場の獣医師と協力しながら早期発見に努めている。

 バランスを崩して歩行が困難になるなどの末期症状はもちろん、音に過敏に反応したり、しきりに鼻をなめたりする初期症状などにも十分な注意が必要だ。

 生産現場における感染牛の発見は、10万分の1、100万分の1の確率かもしれない。

 だが、日本での狂牛病のチェック態勢は英国を上回るものだろうと自負している。

 風評被害対策としては、きちんとした科学的データに基づく情報の提供が必要だろう。







検査態勢拡充を

 
帯広食肉衛生検査所 柳沢一隆所長

 各地の保健所や食肉衛生検査所は、食肉処理場での作業を監視しながら、狂牛病の1次検査(ふるい分け検査)を行っている。

 検査に使う「エライザ法」は感度が高くて、陰性を陽性と判定する可能性がある。

 このため、前処理の段階から慎重な作業が必要となる。

 検査は、安全が最終的に確認されるまで肉や内臓が出荷されない仕組みで、食肉処理されるすべての牛が対象となる。生後30カ月以上が対象のEU(欧州連合)より厳しい。

 ただ、処理頭数が全国一の東京・芝浦(年間8万7000頭)の検査機器が3台なのに対し、全国2位の帯広(同6万6000頭)には1台しか検査機器が配置されておらず、態勢の拡充が課題となっている。




戻る | 会場との質疑応答 | 「検証BSE」に戻る

Copyright(c) The Hokkaido Shimbun Press.