北海道新聞
2004/03/17(水)
道警裏金疑惑 道議会総務委の集中審議(詳報)
 道議会総務委員会で十六日に行われた道警裏金疑惑に関する集中審議の主な質疑は次の通り。

調査ふまえて改善策
■「原田証言」
 蝦名大也氏(自民党・道民会議) 元道警釧路方面本部長の原田宏二氏への参考人質疑で、原田氏は「犯罪捜査にもっとお金が使えれば検挙率はあがる」との警察官の声を紹介した。報償費が適切に使われていないのではないか。

 佐々木友善総務部長 旭川中央署の中間報告で、不適正な予算執行のうち、報償費が執行できないものが支出されており、あってはならないことだ。報償費が機動的に使えないためで、改善する必要がある。道公安委員会が出した監察指示を受け、特別調査を行うことにしており、その結果を踏まえて改善策を検討したい。

 蝦名氏 原田氏は副署長、経理担当者、本部会計課が裏金づくりの担当と証言している。

 佐々木総務部長 道警の予算執行調査委員会(内部調査委)で調査中だが、現段階では原田氏の証言を直接裏付ける内容は把握されていない。調査結果を踏まえて判断したい。

 蝦名氏 原田氏は「署長交際費は正規の予算ではなかったように記憶している」と述べている。原田氏の在職時に正規の交際費はあったのか。現在はどうか。

 加藤猛雄会計課長 当時も交際費は予算措置されており、(交際費から)香典、せんべつなどの執行は可能だった。予算執行は贈呈時に支出するもので、あらかじめ方面本部長、部長、署長などに現金を交付するものではない。現在の交際費は、懇談会経費と各種贈呈経費に区分されている。懇談会経費は、警察本部長と方面本部長は特別職、議会議員や法人役員などが相手方である場合に認められる。各種贈呈経費は警察署長にも執行が認められており、相手方は懇談会経費とほぼ同様。香典、会費、寸志などを基準額の範囲内で執行する。年額は道警本部長が八十万円で、各部長の執行も含む。各方面本部長は三十四万円、各警察署長は十万円から二十四万円だ。

 蝦名氏 原田氏は機動捜査隊長時代に「日額旅費をピンハネ」し、超過勤務手当や車の修理費などにあてたと証言した。現在の同手当の実態、警察車両の緊急時補修の実態はどうか。

 加藤会計課長 二○○三年度(今年一月末現在の道警全職員の超過勤務は)、一人平均の実働時間が四十二時間で、(超過勤務手当の)支給率は38・4%。五年前は三十三時間で50・5%だったが、近年、犯罪や交通事故が増加し業務量が増えており、実働時間は増えている半面、予算の制約上から支給率は低下している。緊急の場合の車両修繕は、一件の予定価格が三十万円未満の契約では、一社による随意契約を行うことができる。緊急を要する場合には、修理工場に持ち込んで対処し、出張先での軽微な補修は職員が立て替え払いを行う。

 斉藤博氏(民主党・道民連合) 原田氏の証言ではOBへのゴルフ接待などがあった。報償費の私的流用はなかったか。

 佐々木総務部長 現段階で把握しているものはない。

 荒島仁氏(公明) 今回の原田氏の告発の背景として、道警の稲葉圭昭元警部=服役中=による一連の「稲葉事件」との関連を挙げているが、どう受け止めるか。

 島根悟警務部長 告発の背景の詳細は、原田氏本人から直接お尋ねする必要がある。

 荒島氏 旅費について質問する。一九九六年度以前は不用額(執行しなかった予算の額)はほとんど生じていないのに、九九年度は一億四千万円、二○○○年度は三億二千五百万円、○一年度は二億三千五百万円、○二年度は二億一千万円と、多額の不用額が生じている。

 加藤会計課長 二○○○年一月から、公用車による日帰り旅行については、日当や日額旅費を支給しない範囲を一行程二十五キロ未満から五十キロ未満に拡大したことが、減少に影響している。

 荒島氏 原田氏は「在職中(正規の)旅行命令簿を書いたことや決裁した記憶がない」と発言している。出勤簿の実態や印鑑、旅行命令簿の扱いなど規定の順守はどうなっているのか。

 久門孝三警務課長 現段階では当時の出勤簿も現存しておらず、原田氏の発言を裏付ける内容、事実関係は把握していない。当時の「北海道警察警察署処務規定」においては「出勤簿」を定め、職員は出勤したとき、自ら押印しなければならないとされている。出勤状況の管理は、警察業務が複雑多様化、警察職員が自ら押印することが実情に添わなくなり、一九八八年一月、自ら押印する方式の「出勤簿」から、指定された管理者が毎日、所属職員の出勤状況を把握する「出勤整理簿」に変更し、的確に把握、管理している。旅行命令簿兼旅費請求書については、審査後、旅行命令権者が保管している。復命(出張の報告)は文書を原則としているが、捜査・取り締まりなど警察活動の旅行、(警察)学校入校および研修などの旅行では、口頭復命としている。

 岡田憲明氏(フロンティア) 「原田証言」の調査について、いつからいつまでを対象に、どの予算(費目)について調べるのか。

 島根警務部長 原田氏の発言についての調査は(原田氏から)具体的に特定する説明がなく、道警の聴取要請にも応じていただけないため、(現時点での)発言を基に調査を行っている。現在は、一九八二年−九五年の間に(原田氏が)言及された部署を対象とし、日額旅費を含めた旅費、交際費、報償費等を対象に当時の関係職員から事情聴取を進めている。

事情聴取 捜査員のみ
■旭川中央署の疑惑
 蝦名氏 中間報告は具体性に欠ける。詳細を明らかにしてほしい。

 島根警務部長 旭川中央署の内部資料に記載されている(報償費の)三十五件について、当時の捜査員の二十二人と署長、副署長、関係課長ら八人から、事情聴取を行った。

 蝦名氏 捜査協力者(とされた市民)に事実確認すべきではないか。

 佐々木総務部長 協力者からは、捜査員との信頼関係に基づいて情報提供など各種協力をしてもらっている。協力者に事情聴取がされた場合、自分の存在が公になるのではないかという疑念や不安を抱かせ、捜査員との信頼関係が失われ、以後の協力ができなくなる恐れがある。警察に情報を提供しようとする人に委縮効果を及ぼす恐れがあることなどから、可能な限り捜査員(だけ)の事情聴取で、事実を明らかにしたい。

 蝦名氏 協力者に渡っていない報償費はどう使われたか。

 佐々木総務部長 調査を進め、全体的な使途について明らかにしていきたい。

 蝦名氏 報償費の使途で不適切、不正はどれか。

 佐々木総務部長 交番勤務員の地域住民との意見交換の際の費用、夜食、署員の激励慰労、慶弔費等の支出は、不適正と認められる。

 蝦名氏 最終調査結果はいつまでに明らかになるのか。

 島根警務部長 まだ実施していない関係職員への事情聴取をはじめ、すでに聴取した捜査員についても、ほかの捜査員の聴取内容との突き合わせのために再聴取が必要だ。また、正規の手続きを経ない支出の具体的な流れと使途、会計書類の作成方法など調査事項が多岐にわたるため、現時点で時期を言うことは困難。できる限り速やかに結論を得たい。

 斉藤氏 「不適正な予算執行」とは何か。

 島根警務部長 正規の執行手続きを経ず、(本来)執行できない経費に用いるとともに、事実と異なる会計書類が作成されていたことだ。

 斉藤氏 それは、不正な裏金がつくられていたということか。

 島根警務部長 裏金とは何かは、執行手続きや費目、使途によってさまざまな見方、とらえ方があろうと思われるが、裏金と言われるのであれば、そのようなものと言わざるを得ない。

 斉藤氏 旭川中央署の内部文書とされるコピーの信ぴょう性は。

 島根警務部長 対象時期の会計書類が存在しないので断定できないが、原本の写しである可能性が高く、信ぴょう性も高いと考える。今後の調査も、当該資料を使っていく。

 斉藤氏 組織的に裏金づくりが行われていたことをどう考えるか。

 島根警務部長 不適正な執行があり、署長、副署長が認識、関与したことが判明しており、組織的な問題と言わざるを得ない。しかし、それ以外の時期については、現時点で不適正な予算執行があったと判断すべき事実は把握していない。

 斉藤氏 (裏金に回った)報償費の使途を示してほしい。

 島根警務部長 個々の特定は困難。全体的な使途についてさらに調査を進めていく。

 岡田氏 旭川中央署での捜査協力者の定義と(謝礼の)支払い基準、決裁権者はだれか。

 芦刈勝治本部長 旭川中央署に限らず、一般的に捜査協力者とは、警察の行う各種犯罪捜査活動において、犯罪の解決に直接、間接に結びつく情報を提供した人、聞き込み、張り込みなどの捜査活動に協力してくれる人のこと。支払い基準は情報の価値、協力度合いなどによって、個々具体的に決定しており、決裁権者は警察署長等だ。

■弟子屈署裏金疑惑
 蝦名氏 弟子屈署の調査はどこまで進み、いつ完了するのか。

 島根警務部長 できる限り速やかに結論を得たい。

見通しが甘かった
■内部監査の問題点
 蝦名氏 当初、予算執行は適正としたが、中間報告は不適正な執行を認めている。内部監査に問題はなかったか。

 佐々木総務部長 年一回以上の定期監査、および随時監査を実施し、関係書類の審査、現金の保管・管理状況の確認と署長、副署長からの事件の内容、現金が協力者に渡るまでの過程の聴取などを行っている。(旭川中央署の疑惑では)当時の内部監査で指摘事項がなかったと報告を受け、予算執行は適正と判断したが、不適正な予算執行が判明したことは、内部監査が不十分だったと認めざるを得ない。

 斉藤氏 内部監査の目的と態勢は。

 加藤会計課長 予算が適正に執行されているかどうかを確認するためだ。警察本部か各方面本部が全所属(部署)を対象とし、警察署の規模により二人か四人態勢で、年一回以上の定期監査と随時監査を実施している。報償費の内部監査は、関係書類の審査、現金の保管・管理状況の確認、署長と副署長から事件内容、現金が協力者に渡るまでの過程を聴取する。

 斉藤氏 内部監査では、「不正はなかった」のではないか。

 芦刈本部長 当時の内部監査が不十分であったと認めざるを得ない。その時点ごとに事実確認の結果を踏まえて判断してきたが、さらに調査の必要があることを見通せず、道民の疑惑を増幅させたことは、おわびを申し上げたところだ。

■特別監査への対応
 蝦名氏 現在行われている二○○三年度の監査に加えて特別監査を実施するとなると、現状の態勢で対応できるのか。

 四十川(あいかわ)久監査事務局長 知事から特別監査要求があったので、全局的な監査態勢を整え、適切に対応するため、プロジェクトチームの設置や実施計画などの検討に着手するとともに、定期監査などについて、担当人員や効率的な業務執行態勢の見直しを行っている。特別監査と定期監査などを同時に実施するため、事務局態勢の強化に必要な人員の確保について、知事部局と協議を行っている。

 蝦名氏 必要な人員を臨時に充てるよう、知事部局に求める必要は。

 四十川事務局長 必要人員の確保について、知事部局に要望していきたい。

 蝦名氏 監査結果の取りまとめはいつか。

 四十川事務局長 二十六日の(監査委員)会議で、めどを協議してもらう。

 荒島氏 道警は道の特別監査に一定の協力をすべきだ。また(内部調査の)全容解明はいつになるか。

 芦刈本部長 調査事項が多岐にわたっており、現段階で最終報告の時期を言うのは困難だ。また、捜査員への聴取については二月二十六日に警察庁から発出された監査への対応に関する通達を踏まえ、対応したい。

最新記事へ戻る | バックナンバーへ戻る

北海道新聞 Copyright(c) The Hokkaido Shimbun Press.