北海道新聞
2005/02/12(土)
道警裏金 原田氏証言から1年 「改革これから」 斎藤氏の告白支え 追及の波 全国へ
 一連の道警裏金問題で、元釧路方面本部長の原田宏二氏(67)が、裏金の実態を証言してから一年が過ぎた。元最高幹部の証言で事態は急展開。元弟子屈署次長の斎藤邦雄氏(57)が証言に踏み切ったほか、道監査委員も本格追及に乗り出し、不正を否定していた道警は一転、裏金の存在を認め、関係者の処分にまで追い込まれた。その後も愛媛、福岡県警で裏金問題が噴出するなど、「原田証言」の余波は、全国の警察を揺さぶり続けている。

 「裏金は、上層部が自由に使える金が欲しくてつくった」。今月上旬、福岡市内で開かれた警察裏金問題のシンポジウムで、原田氏は言い切った。

 昨年二月十日、五十人近い報道陣を前に裏金の実態を証言した時と同じ、歯切れのよい言葉。原田氏は「裏金づくりなんて続くわけがない。いずれ誰かが証言した。それがたまたま私だった」と一年前を振り返る。

 証言後、嫌がらせの手紙が自宅に次々と舞い込んだ。「一年で五十−六十通。『組織の裏切り者』『アカの手先』なんて書いていたけれど、ほぼ全部が匿名だったね」

 支えになったのが斎藤氏の存在だった。三月一日。斎藤氏は再就職先を辞め、無職の身になって記者会見に臨んだ。「手元にある裏帳簿を公開すれば、原田さんの証言を裏付けられる。その思いだけだった」。そして「組織を裏切ったかもしれないが、道民を裏切ることができなかった」と語る。

 原田氏も「私だけならどうなっていたか。道警は『昔のことだ』と軽く受け流すつもりだったのではないか」と話す。

 二人の証言があった直後、道警は、裏金問題の発端となった旭川中央署の裏金を認め、十一月の最終報告では、上層部の指示は否定したものの、組織全体で裏金づくりがあったことを認めた。

 一方、全国でも三月に福岡県警銃器対策課と静岡県警、五月に愛媛県警、六月に京都府警で、それぞれ捜査費や捜査用報償費、旅費をめぐる裏金疑惑が発覚。

 今年一月には愛媛県警の巡査部長、仙波敏郎氏(55)が実名を明かして記者会見を開いた。「現場が領収書を偽造させられた」「不正にフタをすれば県警がダメになる」。証言は、原田氏や斎藤氏とまったく同じだった。

 原田氏は現在、弁護士や警察OBらでつくる「明るい警察を実現するネットワーク」の一員として活動する一方、各地のオンブズマン主催のシンポジウムなどに招かれ、証言を続けている。今年も栃木、大阪、京都、岡山で証言する予定だ。

 原田氏は「旅費も捜査費もすべて裏金にされ、私的流用もあった。道警の内部調査結果は、それとほど遠い」と強調する。そして、警察を大きな船にたとえ、「方向転換には時間がかかる。改革はこれから」と話した。

全国の警察裏金をめぐる主な経過(11日現在)
03年 11月23日 旭川中央署の1995年5月、97年9月分の捜査用報償費をめぐる裏金疑惑が発覚
04年 2月10日 元釧路方面本部長(警視長)の原田宏二氏が記者会見し、裏金づくりが道警全体で行われていた実態を証言
  3月1日 元弟子屈署次長の斎藤邦雄氏が記者会見し、裏金づくりの実務担当者だったことを明かし、裏帳簿を公表
  4日 静岡県警が職員のカラ出張で旅費を不正に支出していたことが発覚
  5日 福岡県警銃器対策課庶務係長の元警部が1995−99年に捜査費などで不正経理を繰り返し、約6600万円の裏金をつくったと証言
  5月31日 2001年度、愛媛県警の警察署で偽造領収書で捜査費を不正に支出していたことが発覚
  6月29日 京都府警の複数の部署が、国費旅費の振込先として捜査員が開設した個人口座の通帳やキャッシュカードを一括管理していたことが発覚
  9月13日 道警が内部調査の中間報告で、ほぼ全部署で裏金づくりをしていたことを認定し陳謝。裏金は計約11億円に
  11月22日 道警が最終報告で不正支出を約7億円と算定、利子を含め約9億円を返還する方針を決定。しかし、私的流用や道警本部など上層部の関与は否定
05年 1月20日 愛媛県警鉄道警察隊巡査部長の仙波敏郎氏が記者会見し、少なくとも1973年から95年まで、県警全体で組織的に裏金がつくられていたと証言
 

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