灰色報告 裏金認めた道警


 
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下・組織防衛 「私的流用なし」死守 2004/09/16(木) 朝刊
   
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威容を誇る道警本部。道民との信頼関係を再び築くことができるか
 「私はかつて、警察の関連団体にいたときに裏金をつくり、横領容疑で逮捕されたことがあります」

 道内在住のある年配男性が自宅で、悔しさをにじませ、振り返った。すでに罪を償った身であり、事件の具体的内容は書けない。それでも、道警の裏金問題に話が及ぶと、これだけは言っておきたいと語気を強めた。

 「なぜ、警察はこれだけ公金を横領して、だれも逮捕されないんですか。組織的とはいえ責任者はいるはず。幹部を逮捕すべきじゃないですか」

 当時、関連団体は道警側を接待するための経費が不足し、男性はその資金を得ようと、やむなく裏金づくりに手を染めたという。もちろん犯罪は許されないが、彼は「弱い個人は逮捕するのに、警察組織は謝罪して金を返せば済むのか」との思いを消せない。

■キャリア同士

 警察の組織防衛の強さは、組織的裏金づくりを認めた後の十三日夕の記者会見でも顕著だった。警察庁から出向してきた島根悟警務部長は、傍らに座る同じキャリア官僚の芦刈勝治本部長を何度もかばう。

 そして「現時点の調査では(私的流用は)確認していない」とし、一九九八−二○○○年度執行分の捜査費と捜査用報償費の約十四億円のうち、大半を裏金にしたが、私的流用は一切ないと明言した。私的流用があれば、業務上横領や詐欺など刑事処分問題が浮上するからだ。

 そうした組織防衛の論理に立てば、道警が私的流用を自ら認めることはないだろう。警察の裏金問題を追及してきた元朝日新聞編集委員の落合博実氏も「警察にとっては『裏金はなかった』が最初の防衛線。それが破られた。そこで警察庁が最後の防衛線『私的流用なし』を死守するよう道警に命じ、特にマスコミに対してそれを一生懸命宣伝している」とみる。

 道警はまた、裏金づくりを報告した十三日の議会で、早くも改革案を示し、「監査規定の制定」や「会計監査の改善」といったメニューを並べた。

 その背後にあるのは、幹部のみが恩恵にあずかる裏金システムの「犯意」を問わず、予算制度や会計規則の不備に原因を求める姿勢だ。そして、税金の使途は議会が決めることの意味すら、理解していないように映る。

■部下の苦悩

 警察の実情に詳しい渥美東洋・中央大総合政策学部教授(刑事法)も、裏金問題には手厳しい。

 「(卒業生には警察官も多いが)裏金づくりのため、上から書類作成を強要され、警察に入ったはずが、暴力団に入ったような気持ちを味わう人間もいる。警察幹部は、自分が部下の苦しみの上に成り立っていることを知っているのか」

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士(名古屋)も「日常的に虚偽文書作成に携わることで、現場警察官の士気低下を招き、住民生活にも影響が出る。裏金よりも根源的な問題だ」と憂慮する。

 道民からも「うそを重ねてきた芦刈本部長以下、幹部の責任はどうなるのか」(岩見沢市、四十代男性)、「隠せば隠すほど信頼を失うだけ。幹部は身内のかばい合いをやめてほしい」(帯広市、七十代男性)といった批判が途切れない。

 裏金問題の発覚後、道警は「自らの問題は自らの手で解決する」と言い続けてきた。そして、私的流用は一円もなかったとする中間報告によって、自浄作用の限界もはっきりと見えた。このままでは、道警のスローガン「道民とともに、道民のために」はさらに色あせていく。

(この連載は報道本部の道警裏金問題取材班が担当しました)