道警裏金問題の確認監査報告 全文

使途とその金額、損害額の妥当性

報償費 2億901万円道に損害

1・報償費

 《1》執行の事実が確認できたもの

 道警内部調査で報告された8万330件、2億4321万2091円については、予算執行事務の適否の検証の結果、8万1675件、2億5696万2340円となり、道警の説明、執行の事実を証明する関係書類の検証などから、適正に執行されていたことを確認した。

 《2》不適切な予算執行となっているもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実が確認できたが、道費での執行が認められないもの250万3594円については、道に損害を与えたと認められる。

 また、報償費に関する補助者への返納額が、少なくなっているもの1件、270円、多くなっているもの1件、250円については、道に損害を与えたとまではいえないが、精算事務を要するものと認められる。

 《3》執行の事実が確認できなかったもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実が確認できなかったもの53件、12万1402円については、道警が十分な調査を行ってもなお、執行の事案が確認できなかったものであり、《4》と同様に扱うべきものである。

 《4》執行の事実がないもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実がないもの2万2723件、3億7095万7237円と《3》の53件、12万1402円の合計2万2776件、3億7107万8639円については、決定どおりに予算執行が行われていなかったものと認められる。

 この合計金額に関する実際の使途については、道警が内部調査で不適正執行分の使途とした区分に従い、次のとおり検証した。

 ア・捜査活動に要する経費

 a・98−2000年度の不適正執行分

 道警内部調査では、副署長らから月初めに交付、または必要に応じて交付された報償費のうち、捜査活動に使用したものとして確証が得られたものとして2億912万7673円を計上している。これは、資金を交付した副署長らと受領した捜査員からの事情聴取に基づいて積み上げられたものであるが、これを受領した捜査員が捜査活動に使用した個別、具体の使途と金額を特定する物証、または証言を得ることはできず、個別の確認をすることはできなかった。

 しかしながら、特別監査の面談での事情聴取で、多くの捜査員から、上司から資金を受領し、さらに受領した資金では足りず、私費を使って捜査活動に当たっていたとの説明があった。加えて道警内部調査の事情聴取結果表の内容について信ぴょう性の検証のため行った面談などによる事情聴取で、捜査員から、上司から受領した資金については、接触費、捜査協力者に対する謝礼、電話代などの捜査活動経費として使用していたとの説明があった。

 また、01年度に捜査諸雑費が制度化された経緯があることや、01−03年度は、被疑者の摘発などのために報償費(01年度7192万3874円、02年度9472万9163円、03年度7268万387円)が適正に使われていることから、同様の摘発実績がある2000年度以前も、現場捜査員の下で、相応の費用が捜査活動に必要とされており、実際に使われていたと心証を得ることができた。

 このような観点から、道警内部調査の積み上げ額に対し、道警内部調査の事情聴取結果表に関する副署長らと捜査員の説明について、個別に精査し、また、捜査員から確認した結果、捜査員によって使われたと認められる積み上げ額を1億6371万3699円とし、これについては、道に損害を与えたとは認めなかった。

 b・01−03年度の不適正執行分

 捜査活動に要する経費として使用したとするものについては、個別に、処理状況報告書に添付されている説明資料や説明内容を証明する関係書類などで確認した結果、これを確認できたのが69万9030円あった。

 イ・公費で執行が可能な経費

 道警内部調査で、報告内容を証明する関係書類などを確認した結果、関係団体との懇親会費、歳末特別警戒時の夜間の補食代、点字防犯情報誌の作成代など6万4千円については、その使途と金額を確認した。これらは、交際費、食糧費または役務費の予算科目であれば道費で支出することが可能なものと認められるものであり、道に損害を与えたとは認められないものである。その額は、ウで認めた9万4500円を加えて15万8500円である。

 ウ・公費で執行が可能な経費以外の経費と、執行の確証が得られないもの

 道警内部調査では、公費で執行が可能な経費以外の経費を、交際経費、激励経費、食糧経費、その他の経費に区分している。

 これらのうち、交際経費については、道警本部または各方面本部が主催した各種会議の開催日の資料と、各種団体からの会議などへの参加案内文の写しの提供があり、その内容を精査した結果、個別、具体的にその執行内容を確認することができ、交際費の予算科目であれば道費で執行することが可能であると認められるものが9万4500円だった。

 これ以外の交際経費、食糧経費、その他の経費については、執行内容を個別、具体的に確認することができなかった。

 激励経費については、98−02年度に道内で発生した主要な事件の資料の提出とともに、これら事件の捜査の激励などのために使用したと説明があったが、本来、道費では執行することができない経費である。

 また、道警内部調査で執行の確証が得られないとされたものについて、道警にその理由などの説明を求めたところ、副署長や捜査員らから捜査活動に要する経費、あるいは交際経費、激励経費などに使用したと説明があったものの、執行事実を裏付ける資料などがなく、副署長らの記憶が判然としない部分もあることなどから、執行の確証を得られなかったと説明があった。

 執行の事実がないものなどの合計額3億7107万8639円からアで認めた額とイの額を控除したもの2億650万7410円については、公費で執行が可能な経費以外の経費と、執行の確証が得られないものであり、道に損害を与えたと認められる。

旅費3088万円の損害を認定

2・旅費

 《1》執行の事実が確認できたもの

 道警内部調査で報告された79万5102件、93億9180万4324円については、予算執行事務の適否の検証で、79万1441件、93億5073万4374円となり、これらは、道警の説明、執行の事実を証明する関係書類の検証などから、適正に執行されていたことを確認した。

 《2》不適切な予算執行となっているもの

 旅費が過払いとなっているもの96万9920円、委任払いが適切に行われていないもの1759万8040円については、道に損害を与えたとまではいえないが、精算事務などを要するものと認められる。

 《3》執行の事実が確認できなかったもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実が確認できなかったもの271件、190万8940円については、道警が十分な調査を行ってもなお、執行の事実が確認できなかったものであり、日額旅費に関する委任払いで、旅行者が受領していた日額旅費の額46万6600円を除いた額144万2340円については、《4》と同様に扱うべきものである。

 《4》執行の事実がないもの

 予算執行事務の適否の検証の結果、執行の事実がないもの4594万3170円と《3》で示した144万2340円の合計4738万5510円のうち、日額旅費に関する委任払いで、日額旅費の全額を受領代理人に交付する前にその一部を控除していたと説明している会計担当者らが、控除後、受領代理人に交付していた額1650万730円を除いた額3088万4780円については、道に損害を与えたと認められる。

3・食糧費

 《1》執行の事実が確認できたもの

 道警内部調査で報告された1万4906件、11億4704万5619円については、予算執行事務の適否の検証で、1万4876件、11億4633万4500円となり、これらは、道警の説明や執行の事実を証明する関係書類の検証などから、適正に執行されていたことを確認した。

 《2》不適切な予算執行となっているもの

 数回分の発注を一度に購入したこととしていたが、支払いの事実を確認できたもの1件、1万3800円については、道に損害を与えたとまではいえない。

 《3》執行の事実が確認できなかったもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実が確認できなかったもの10件、12万6260円については、道警が十分な調査を行ってもなお、執行の事実が確認できなかったものであり、《4》と同様に扱うべきものである。

 《4》執行の事実がないもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実がないもの57万1059円のうち、留置人給食の供給契約業者に支払っていた額32万7254円を除いた額24万3805円については、関係書類から、当時、留置人が留置されていたこと、留置人に給食が提供されていたことは確認できたが、留置人の朝食などを購入したとする販売店の領収書などの物証の提出がなく、執行の事実について確証が得られなかったものであり、道に損害を与えたと認められる。

 また、《3》でこれと同様に扱うべきだとしたものについても、道に損害を与えたと認められる。

4・交際費

 《1》執行の事実が確認できたもの

 道警内部調査で報告された7931件、5308万7943円については、予算執行事務の適否の検証で、7906件、5290万9954円となり、これらは、道警の説明や執行の事実を証明する関係書類の検証などから、適正に執行されていたことを確認した。

 《2》執行の事実が確認できなかったもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実が確認できなかったもの11件、6万9589円については、道警が十分な調査を行ってもなお、執行の事実が確認できなかったものであり、《3》と同様に扱うべきものである。

 《3》執行の事実がないもの

 予算執行事務の適否の検証で、執行の事実がないもの10万8400円のうち、実際に贈呈した金品の額8759円を除いた額9万9641円については、執行内容を確認することができる物証などの提出がなく、執行の事実について確証が得られなかったものであり、道に損害を与えたと認められる。

 また、《2》でこれと同様に扱うべきだとしたものについても、道に損害を与えたと認められる。

5・公費で執行が可能な経費以外の経費と、執行の確証が得られないものの使途

 署長らに対する事情聴取で、組織運営としての観点から、警察行政への支援、協力要請や、部下職員の士気高揚を目的とした夜間捜査時の捜査員の補食代、捜査協力者に対する謝礼代、署内外での会議後の懇親会経費、事件捜査の捜査員や術科大会参加者に対する激励経費、職員と家族の慶弔費、入院見舞金などとして使用したと説明があった。

 なお、提出された関係資料と関係者に対する事情聴取などで検証した結果、組織の立場を離れ、個人的な利得を目的として使用していたものは確認されなかった。

6・検証結果

 道が被った損害額は、各費目の公費で執行が可能な経費以外の経費と、執行の確証が得られないもの、また、余市署の2000年2月分の報償費の不一致額2万円の合計額2億4045万5079円と認められる。
道が被った損害額の状況  (単位:円)

予算執行事
務の適否
執行の事実が
確認できたもの
不適切な予算
執行となって
いるもの
執行の事実が確認できなかったもの
及び執行の事実がないもの
合計
(執行総額)
使途等 適正に執行
されたもの
精算事務を要
するものなど
公費で執行
が可能な経費
捜査活動に
要する経費
公費で執行が可能
な経費以外の経費
及び執行の確証が
得られないもの
捜査用報償費 256,962,340 - 158,500 164,412,729 209,011,004 630,544,573
旅費 9,367,701,704 18,567,960 - - 30,884,780 9,417,154,444
食糧費 1,146,661,754 13,800 - - 370,065 1,147,045,619
交際費 52,918,713 - - - 169,230 53,087,943
合計 10,824,244,511 18,581,760 158,500 164,412,729 240,435,079 11,247,832,579
注1 「合計(執行総額)」欄には、余市署の2000年2月分の捜査用報償費の執行における資金前渡員からの受領額と現金出納簿受入額との相違額20,000円が含まれておらず、道が被った損害額の総計は、「公費で執行が可能な経費以外の経費及び執行の確証が得られないもの」欄の「合計」欄に当該差額20,000円を加算した額となる。

注2 「不適切な予算執行となっているもの」欄の金額と下の表にある「不適切な予算執行となっているもの」欄の金額との不一致額2,503,594円は、道費での執行が認められない激励慰労費分であり、「公費で執行が可能な経費以外の経費」に含めて計上した。

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