「私的流用」どう決着

トップの関与/とにかく隠す/身内には甘く

 裏金問題や身内の犯罪のもみ消しなど、全国の警察で発覚した組織的不正のいきさつをたどると、ある共通点に気付く。「トップの関与」「不正の隠ぺい」、そして「身内に甘い処分」だ。過去の新潟、神奈川両県警の事例では、このパターンが象徴的に表れた。

■かけマージャン

 二○○〇年一月二十八日、新潟県柏崎市で女性監禁事件が発覚した。九年以上も男の自宅に監禁されていた女性の保護に際し、県警は「柏崎署員が女性の身元を確認した」と発表した。しかし、実際に身元を確認したのは柏崎保健所職員らだったことが県の報告書で判明。県警が第一発見者であるかのように虚偽発表することを、県警本部長自らが了承していたことが分かった。

 警察庁は二月二十四日、内部調査の中間報告として「本部長は駐在所訪問で出張中、宿泊先の旅館で事件の報告を受け、虚偽発表を了承した」と公表した。しかし、二十六日、ただの出張ではなかったことが明るみに出た。本部長は特別監察で県警本部を訪れた関東管区警察局長を温泉旅館に招いて宴会を開き、マージャンで接待しながら虚偽発表を部下に指示。そのまま宿泊して本部には戻らなかったのだ。

 さらに二十八日、局長の県警本部滞在がわずか十五分で、事実上、監察業務をしていなかったことが判明。また、接待は図書券を使った「かけマージャン」だったことなど、警察が隠していた不正が次々に表ざたとなった。ペナルティーは本部長が減給一カ月で、局長は処分なし。二人は処分確定後に辞職した。

■「薬物」もみ消し

 一九九九年九月に発覚した神奈川県警外事課の現職警部補による覚せい剤使用事件のもみ消し工作も、構図は同じだ。

 九六年十二月、警部補は覚せい剤使用を認めたが、県警は覚せい剤反応が消えるまで尿検査を繰り返し、「陰性」を確認した上で立件を見送った。

 この間、当時の本部長は「警部補をくびにしろ」などと、もみ消しを指示。不倫を理由に警部補を諭旨免職にした後、九七年二月に上司二人を本部長注意などの軽い処分にして幕引きとした。

 県警は発覚後の九九年十一月、犯人隠避容疑で、当時の本部長ら九人を書類送検。「証拠隠滅の恐れがない」として、逮捕は見送った。横浜地検が起訴したのは、このうち元本部長ら五人だけ。残りは起訴猶予処分となった。

■ピラミッド構造

 警察の組織的不正には、もう一つの共通点がある。強固なピラミッド組織のため、トップが間違っていても、だれも意見を言えないことだ。新潟、神奈川両県警の幹部らも、不正を見ていながら、トップの暴走を止められず、それに加担した。

 神奈川県警のケースでは、二○○○年二月の元本部長らの初公判の検察側冒頭陳述などで、元警務部長の心境が明らかになった。警部補を辞めさせる際、警務部長は「いま辞めさせていいんですか」と本部長に尋ねた。答えは「いい」。翌日、念押ししたが、答えは同じだった。警務部長は立件できなくなったことについて「『帰る橋がなくなった』と感じた」と述べている。

■図式は全国共通

 全国で発覚している裏金問題にも、同じような図式がある。

 愛媛県警では今年一月、現職警察官が裏金疑惑を実名で告発した。県警は疑惑を認めず、この警察官を別の部署に事実上“左遷”。徹底抗戦の構えだ。

 一方、福岡県警では昨年三月に県警OBが裏金疑惑を告発した。県警は同十二月に幹部五十二人を処分。ただし「私的流用はなかった」として、戒告などにとどめ、今年二月には約二億円を国に返還し、問題に幕を引いた。

 道警も○四年十二月、二百三十五人を処分したが、重くても停職一カ月だった。

 裏金は隠すか、隠し切れなければ、処分内容は軽くとどめる−との鉄則があるかのようだ。

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