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2006/08/21(月)夕刊
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭。夕張市の財政破たんで中止が決まった。地元や道内はもとより国内外の映画関係者からも惜しむ声は多い。その魅力と意義とは。そして、再開を目指すならばどのような可能性があり、何が課題となるのか。十七回を重ねてきた映画祭をさまざまな角度から検証する。(山本孝人)
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「夕張での出会いが無ければ、今の僕はありませんよ」。日本映画界を代表する若手の一人、北村龍平監督の夕張への思い入れは大きい。北村を一躍有名にしたヒット作「あずみ」(二○○三年)を監督することが決まったのは○一年の映画祭の最中だった。新人監督として初長編「VERSUS(ヴァーサス)」を携えコンペに出品。これを見た山本又一朗プロデューサーが「あずみ」を任せることを決めた。「ヴァーサス上映後、審査員に誘われて居酒屋で食事をして大騒ぎ。そこで山本さんを紹介された」。店を移しながら語り合い、夜明けには話がまとまっていた。
「本で読むことはあってもそんな話は普通はありえない。夢のあることが起きたんですよ、夕張では」。映画作りでは人との出会いや縁が大きな割合を占める。映画業界につてがなかった彼にとって映画祭での出会いが監督への道を開いた。「僕、北村という監督を生み出した映画祭ですよ。次の僕、未来の北村がいるかもしれない」。「ゆうばり」がなくなるのは映画界にとって損失という。
海外の映画関係者にもファンはいる。新人時代に参加したクエンティン・タランティーノ監督は○三年の「キル・ビル1」に栗山千明が演じる「ゴーゴーユーバリ」という刺客を登場させたほど、夕張の印象は大きい。
「単なる上映会と違う映画祭の最大の役割は『場』をつくること。映画をきっかけに観客とゲスト、俳優や監督など製作者同士が出会う場」。全国の映画祭事情に詳しい全国フィルムコミッション連絡協議会専務理事の前沢哲爾さんは説明する。二月の雪深い夕張は偶然の出会いが生まれる密度が濃い空間。大都市での東京国際映画祭ではありえないことという。
人口約一万三千人の山間のマチで真冬の開催。地元市民の熱烈な歓迎もあって「手作りでアットホームな感覚が魅力」とゲストや観客から評判がいい。夕張がモデルとしたフランスのアボリアッツはスイス国境近くの山間の人口数千人のスキーリゾート。三大映画祭の一つカンヌも人口七万人弱。小さな港を中心とした海辺のリゾート地で大都市ではない。
世界で成功している映画祭が開催されるマチとしては夕張はスタンダードサイズという。小さなマチが期間中に映画祭一色に染まり、非日常の空間を演出できることが成功条件の一つ。「たとえば同じものを札幌に持ってきても決して成功しない」。夕張という多少不便な小さなマチだったからこそ、ここまで成功したと前沢さんは指摘する。 |