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| <上> 安堵と苦悩 選挙懸念、生活重視に |
方針転換
「住民生活への影響が大きい事業は、一部見直しの上で継続するなどの配慮ができた」。二十六日夕の夕張市議会財政再建調査特別委員会。財政再建計画素案をめぐり、同日昼すぎまで国、道との文言調整に追われた後藤健二市長は、報告を終えるとさすがに安堵(あんど)の表情を浮かべた。
昨年六月の市財政破たん発覚以降、国は夕張市に対し強硬に市政スリム化を迫ってきた。「全国で最高の住民負担、最低水準の行政サービス」を原則に、昨年十一月の基本的枠組み案に盛り込まれた市民税増税や小中学校統合、市職員の大幅削減などを誘導。市民から反発が強まると、菅義偉総務相は記者会見で「厳しいことも必要だ」と述べ、住民生活への影響はやむを得ないと突き放した。
「そんな国の態度が年明け後、急に変わった。何があったのか」。夕張市職員はいま、こう言って首をひねる。
転機は昨年十二月二十八日、安倍晋三首相が「市民が心配しないよう、お年寄りと子供に配慮した再建計画に」と菅総務相に指示したことだった。菅氏は翌二十九日に夕張市を初めて視察し、「住民サービスの一定水準の維持は約束する」と方針転換を表明。今年一月二十二日には、市が抱える借金の金利を道と協力して一部負担する財政支援にまで踏み込んだ。
一九九二年の福岡県赤池町(現・福智町、二○○一年再建完了)以来の財政再建団体となる夕張市の破たんは、全国的な注目を集めた。テレビのワイドショーが市民の窮状を取り上げるたび、総務省の担当課に抗議電話が殺到し、仕事にならない状態が続いた。
「安倍政権が地方いじめをしているとの印象が定着すれば、四月の統一地方選、七月の参院選に悪影響が出かねない」。首相周辺は、方針転換の理由をこう解説する。
ほころび
市民への共感がもたらした計画案の緩和。しかし、その実現を担うべき夕張市の体制には、すでにほころびが明らかだ。三月末の退職予定者は、全職員の半数にあたる百五十二人に膨らんだ。
特に深刻なのは技術管理者二人がともに退職する予定の上水道だ。北炭、三菱の両炭鉱水道を引き継いだ市内の配管は複雑で、管理は一筋縄ではいかない。「本当に水の供給ができるか不安」と後に残る職員は漏らす。
救急救命士は四人減って七人になり、二台ある救急車の運用が困難になる。佐藤公穂消防長は「道には消防士はいないし、近隣自治体に頼むと言っても、どこも人手不足だ」と頭を抱える。
北海学園大学経済学部の西村宣彦講師(地域経済学)は素案の内容について、「市民生活に一定の配慮をしたと評価できるが、病院を含むライフライン維持への不安が残る」と指摘する。
再建への道筋は示された。ただ、十八年後のゴールはあまりに遠く、道中には市民がかつて経験したことのない苦難が待ち受けることだろう。
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夕張市が二十六日に示した財政再建計画素案は、まちの再生に向けた道しるべと言える。素案策定の経緯を検証し、今後計画を達成し再建を実現していくためには何が必要か、探った。(夕張市財政再建問題取材班が担当しました) |
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