夕張・再建始動

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<上> 滑り込み 市の「準備」遅れ気味
2007/03/07 (水) 朝刊


 夕張市は六日、正式に財政再建団体へ移行した。計画を終える十八年後、まちの姿はどう変わっているのか。総務省が新たな自治体再建法案の成立を目指す中、財政事情の苦しい他の市町村に、どのような影響を及ぼすのか。現状の課題を見すえ、将来像を展望する。

 六日朝、菅義偉総務相との会談場所になった参院別館入り口には、会談が始まる二十分前から、直立不動で立ちすくむ後藤健二市長の姿があった。遠慮がちに部屋に入る市長は、同行した高橋はるみ知事にうながされ、菅総務相の前に出た。

 「同意書です。頑張って。期待してます」。総務相は冒頭、大きな声で激励した。恐縮する市長の表情はこわばったまま、「ご心配をかけたことを申し訳なく思い、また感謝しています」と消え入るように話した。

 鉛筆一本を買うにも国の許可が必要とされる財政再建団体。国の厳しい管理の下で財政の立て直しが行われる、今後の「主従関係」を象徴する場面だった。

消えぬ不安

 再建団体への移行は、再建計画の実質初年度となる二○○七年度予算案の編成や議会論議を考えると、まさに「滑り込み」のタイミングだった。国、道との協議がずれ込んだ結果、再建を担うべき市の体制は、いまだに固まっていない。

 「難解なジグソーパズルを解くようだ」と、夕張市の千葉博務総務部次長はつぶやく。現在の市職員は二百五十三人。三月末にはその半数が退職する。五部十七課三十係を、七課二十係に再編する機構改革案を決めたものの、二月中に予定していた内示はできなかった。

 後藤市長が市長選への不出馬に言及したことも不安要因だ。「市民から『市長も職員も逃げるのか』と言われかねない。市民が一致団結するべき時期なのに」と憂う職員もいる。

 退職を決断した五十代の職員は住宅ローンを抱え、高校生の子どももいる。「職探しをしても、正規雇用は難しいと思う。夕張には残るが、他の町に通うことは必至。去るも残るも地獄ですよ」という。

職員大幅減

 市は地域の窓口サービスを担当してきた市内五カ所の「連絡所」を三月末で廃止し、「地区担当員制度」を導入する。市職員の分担地区を固定し、「職員が地域に溶け込むきっかけと、意識改革につなげたい」(総務課)との狙いを込めた。

 困り事相談から住民票の宅配など、きめ細かなサービスに努める構想を練っていた。予想を超える市職員の大量退職希望で、そのもくろみは出ばなをくじかれた。昨年末に予定していた制度概要の公表も、三月中旬にずれ込んでいる。

 風雨で大荒れの五日、年金受給のため市郊外の連絡所を訪れる女性(81)がいた。「四月からはバスで遠くの支所まで行かなければならない。残念の一言だよ」。女性は応対した職員に「これからどうなるの」とたずねた。一拍の間を置き、答えが返ってきた。「まだ分からないんです」

 実務作業の遅れは、住民へのしわ寄せとなりつつある。